推しとの思い出を抱いて生きていく幸せもある――ドラマ『だから私は推しました』最終話

推しとの思い出を抱いて生きていく幸せもある――ドラマ『だから私は推しました』最終話
その他 “生涯ドルヲタ”ライターの「アイドル深夜徘徊」vol.40推しとの思い出を抱いて生きていく幸せもある――
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NHK総合『だから私は推しました』公式サイトより
一年前、当時好きだったグループが解散した。
当然、そこには推している子がいて、その子は「また皆さんに見つけてもらえるところに行きます。そうしたら私を見つけて下さい」というような言葉を残して、ステージを去っていった。 アイドルは必ず終わりがくる。
それも、意外と早い時期に。
そんな時、メンバーやファンはさまざまな思いを持って、それを受け止める。
アイドルが終わっても、人生は続いていくからだ。
ドラマ『だから私は推しました』(NHK総合)最終話。
とうとうサニーサイドアップ(サニサイ)が解散した。
解散ライブの時間、厄介オタの瓜田(笠原秀幸)を突き落としたのは自分だとして、警察署で取り調べを受けていた愛(桜井ユキ)だったが、それが嘘であることがバレてしまう。
瓜田の自宅に監禁され、逃げようとして彼を突き落としたのは、愛ではなくハナ(白石聖)だった。
解散ライブの時間が迫る中、なんとかハナをステージに立たせてあげたいという一心で、愛は身代わりとなったのだ。
ライブを終え、取調室にハナが現れる。
そして、愛からチケットを受け取ると、しっかりと手を握った。
それが、アイドル「栗本ハナ」として最後の握手だった。
ハナの自供によって事件は明るみになり、テレビなどでもセンセーショナルに報道された。
地下アイドルの誘拐・監禁、そして熱狂的なファンによる身代わり。
確かに、実際に起こったらかなりの話題になることだろう。
ただ、身代わりになるまではなくとも、アイドルが被害に遭う事件は、いくつも起きている。
先日も、自分の推していたアイドルのマンションに押し入り、彼女に怪我を負わせたとして26歳の男が逮捕されるという報道があったばかりだ。
こういう事件が起こる中で目を向けなければならないのは、加害者の心理だろう。
「熱狂的」「異常なファン」そんな言葉だけで片付けるのは危険だ。
アイドルに対する距離感を誤れば、誰でもこの犯人や瓜田のようなことになりかねない。
多くの場合、このような人たちは、アイドルと「対等」であろうとする。
自分が何かをしてあげたから、相手からもそれ相応のことをしてもらいたい、と考えるのだ。
しかし、まずは、その考えから変えたほうがいい。
アイドルへの思いを、あえて「愛」とするなら、それは本来、相手に対して無償のものでよいはずなのだ。
アイドルから受け取るのは、ライブの楽しさや、特典会でのトキメキ、時折投げかけてくれる励ましぐらいで十分なはずである。
もちろん、お金をかけた分だけ特別扱いしてもらいたいという気持ちはあるだろう。
しかし、運営側が提供しているサービスがどのようなものか、それにかけるお金はどれほどが適切か、冷静に判断する力は持っておくべきだ。
事件の大きさもあり、愛は会社も辞めることになった。
その後、ハナは不起訴となり、サニサイのオタクはライブハウスを借り切って、そのお祝いに解散ライブの上映会を行うこととなる。
しかし、来るはずだったハナはそこに現れなかった。
そして、弁護士でもあるファンの椎葉(村杉蝉之介)を通して、「オタクとの連絡を一切断つ」と伝えてきたのだ。
それに対し、小豆沢(細田善彦)は、「瓜田がいつ出所してくるかわからない、その時に自分とは無関係でいた方がいいと考えたのだろう」と話す。
結局ハナなしで始まった上映会。
スクリーンの中で、メンバーたちはファンへの感謝の言葉を述べていく。
そしてハナ。学生時代のことを告白し、もうみんなの前に出ることはないだろうと語る。
愛は、そんなハナの姿を、涙を浮かべながら見つめるのだった――。
[紹介元] おたぽる 推しとの思い出を抱いて生きていく幸せもある――ドラマ『だから私は推しました』最終話