目指せ未来のダウンタウン！ＮＳＣ「オンライン相方探し」に密着

ＮＳＣ東京校で行われたオンラインでの「相方探し」。芸人の卵がアピール合戦を繰り広げた＝東京・神保町【拡大】

　ダウンタウンら多くの人気お笑い芸人を輩出した吉本興業の養成所、ＮＳＣが、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業を駆使して未来のお笑いスターを育てている。同校は４月に予定した入学式を中止し、５月からオンライン授業を展開。芸人志望者が今後の方向性を決める一歩となる「相方探し」はお笑い芸人版お見合いパーティーのような恒例儀式で、本紙が「オンライン相方探し」に密着した。　ＮＳＣは大阪校１期生のダウンタウンを筆頭に、３８年にわたって多くのスターが巣立ったお笑い芸人の老舗養成所だ。　東京校は今年、約３００人の２６期生が入学。担当者によると、新型コロナ禍でも人数は例年通りだが、４月の入学式を中止し、５月からオンライン授業を展開している。　本紙は、コンビなどを組む相手を探す同校の恒例行事「相方探し」に密着。例年はお見合いパーティーのように生徒が列を作って対面するが、今年初の実施となった今月中旬、ウェブ会議上で希望者が顔を合わせた。　生徒がいるはずの教室には、運営を担当する吉本社員数人のみ。昨年度に卒業したアシスタント役の新人芸人２人も参加し、「演技はコントや漫才にも生きる」と生徒に助言したり、質問をして個性を引き出していた。　「女芸人Ｎｏ．１決定戦　ＴＨＥ　Ｗ」の初代優勝者、ゆりやんレトリィバア（２９）はＮＳＣ大阪校時代から評価が高く、「ＮＳＣ大ライブ」と呼ばれる卒業公演で優勝して“首席”で卒業。１年目にアシスタント役を務めた優等生だけに、１期下の８・６秒バズーカーらが恐れるほどスパルタで有名だったという。　入学資格は中学卒業以上。生徒の多くは芸人志望だが、トークを磨きたいという人もおり、経歴や動機はバラバラだ。　某都市銀行を１年で退職した張本吉暁さん（２３）は、新型コロナで中国留学をあきらめて芸人を志し、「営業をしていたのでトークが得意。目標はダウンタウンさん」と笑顔。昨年、高校生漫才コンテスト「ハイスクールマンザイ」で審査員特別賞に輝いた山内琴子さん（１８）は「コロナで２６期生が幻になるのではと不安だったが、黒柳徹子さんを尊敬しているので『徹子の部屋』に出たい」と夢を掲げた。　今後はネタ見せ、現役芸人の講義をオンラインを交えて実施。担当者は「基本のネタを磨き、今のような事態になっても世に出られる準備をしておくことが必要。オリジナリティーがないと売れないが、よりそれが強くなるのでは」とコロナ後の笑いを想像していた。ＮＳＣ　１９８２年に大阪で開校。現在は大阪、東京、札幌、名古屋、広島、福岡、沖縄の全国７カ所に拠点がある。中学卒業以上が入学できるカリキュラムはお笑いコース、クリエーターなどの志望者向けのビジネスコースがあり、各１年制。お笑いコースでは、現役芸人の講義もあり、発声、演技、ダンスなども学ぶ。卒業後は約６０００人のタレントがいる吉本興業に所属することができる。