直木賞に馳星周さん 芥川賞は高山羽根子、遠野遥さん

直木賞に馳星周さん 芥川賞は高山羽根子、遠野遥さん
第163回芥川賞に決まり、写真撮影に応じる遠野遥さん(左)と高山羽根子さん=15日午後、東京都千代田区のホテル【拡大】

 第163回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は高山羽根子さん(45)の「首里の馬」(「新潮」3月号)と遠野遥さん(28)の「破局」(「文芸」夏号)の2作に、直木賞は馳星周さん(55)の「少年と犬」(文芸春秋)に決まった。 高山さんは1975年富山市生まれ、東京都在住で2010年にSF作品でデビュー。受賞作では沖縄を舞台に、主人公の女性と在来種の馬の奇妙な出会いをつづった。 遠野さんは91年神奈川県生まれ、東京都在住で19年に文芸賞を受けデビュー。受賞作は、体育会系の男性の迷いのない内面とその破綻を淡々と描いた。平成生まれで初めての芥川賞受賞者となった。 65年生まれで長野県在住の馳さんは、96年「不夜城」でデビューし受賞多数のベテラン。受賞作は、多様な人物と交わりつつ旅を続ける犬の道行きの先に、思わぬ真実が浮かぶ連作短編集。 太宰治の孫の石原燃さん(48)の芥川賞受賞はならなかった。遠野遥さんの話「驚いていて、まだ状況に頭が追い付いていない。(受賞作の)主人公の性格が変だと言われますが、自分では変なキャラクターにしようとは思っていなかった。私は器用なタイプではないので、自分で書けるものを書いていこうと思う。受賞によって執筆に対する思いが変化することはありません」高山羽根子さんの話「私はその場所に行かないと書けない人間。沖縄を舞台にした今回の作品も、実際に行った経験があって生まれました。(観戦が趣味の野球に例えると)別のプレーボールがかかって、新しいフィールドの端っこに立つことができた感じです。(受賞を)みんなが喜んでくれたことがうれしい」馳星周さんの話「若い時はノワール(暗黒)小説しか書かないと思っていたが、40代半ばぐらいからは書きたいものを書きたいように書く心境になった。その一作での受賞で、ありがたい。馳星周という小説家の本質は基本的に変わらない。都会の暗黒街が舞台でなくても持ち味を出せる。二十何年間、一生懸命小説に向き合ってきたことが評価されたかなと思う」

[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 直木賞に馳星周さん 芥川賞は高山羽根子、遠野遥さん