コロナ禍での宝塚歌劇団の挑戦/芸能ショナイ業務話

コロナ禍での宝塚歌劇団の挑戦/芸能ショナイ業務話
 宝塚歌劇の宙組公演「壮麗帝」(作・演出=樫畑亜依子)がこのほど、大阪の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでの公演を無事に終えた。当初は4月に同所で上演予定だったが新型コロナ感染拡大防止のため延期となり、約4カ月半遅れ。しかも8公演のみだった。 物語の舞台は、16世紀初頭のオスマン帝国。宙組男役スター、桜木みなと演じる皇帝スレイマンの生涯を寵姫ヒュッレム(遥羽らら)との愛や、義弟にあたる大宰相イブラヒム(和希そら)との絆を通して描かれる歴史ロマン。 舞台上では華やかな剣舞や歌が披露されたが、最初はどうしても観劇に集中できなかった。というのも、舞台上が、あまりにも“密”だった。劇場の入り口には消毒液とともに、赤外線による体温検知機器を設置。客席も1席ずつ空けるなど、新型コロナウイルス感染拡大防止が徹底されていただけに、ギャップを感じた。 そもそも7月17日に再開した宝塚大劇場での花組公演「はいからさんが通る」が、公演関係者に新型コロナ陽性が確認されたために8月2日から中止。公演関係者13人が感染し、兵庫県もクラスター(感染者集団)と認定した。さらに東京宝塚劇場で上演している星組公演の出演者1人が感染しており、宝塚関係者も「念のためにPCR検査をしたら、東京でも陽性が明らかに。東京と兵庫で最近の接点はないのに、どうして…」と、驚きを隠さなかった。 宙組も出演者30人がPCR検査を受けたが、全員が陰性。とはいえ、見ている側としては「大丈夫なのか?」とも思ってしまう。それでも情感たっぷりにスレイマンを演じる桜木の魅力に、次第に舞台に引き込まれていった。 桜木は千秋楽のカーテンコールで「今まで当たり前のように思っていた環境がいかにありがたかったかを痛感し、同時にタカラジェンヌの使命を感じずにはいられませんでした。こんな時だからこそ、愛をパワーをお届けしたい一心でした。この奇跡のような時間に感謝します」と語ると、こちらもこみ上げるものがあった。 クラスターが発生した宝塚大劇場での花組公演「はいからさんが通る」が9月3日から再開する。出演者と観客との距離を取るために演出の一部を変更したり、客席側に張り出した「銀橋」を取りやめるという。コロナ禍の中、100年の歴史を誇る宝塚歌劇団の挑戦が続く。(すみた)
[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) コロナ禍での宝塚歌劇団の挑戦/芸能ショナイ業務話