【写真】『半沢直樹』あの小料理屋の女将が…胸元&美脚ですさまじい大人の色気をかもす井川遥
■「日曜劇場」という会場で待ち構えた“イベント”的役割
シーズン2の放送発表から期待値が高かった『半沢直樹』。コロナ禍で撮影が思うように進行しないなか、4月スタートから大幅に遅れて7月19日に初回が放送されると、のっけから面食らわせる。まさかの「見逃し配信、一切ナシ」の方針だったからだ。
リアルタイムで視聴できなくても、後からマイペースに楽しむスタイルが多くのドラマファンの間で習慣化されつつあるなか、真逆の流れの告知に対し、SNS上では「お金を払うから配信して」など、切実な声であふれていた。そうして9話まで地上波放送の縛りは続き、何食わぬ顔で『半沢直樹』劇場は進んでいった。
一方で、本編はもとより、公式Twitterをはじめ、「100倍返し饅頭(東京中央銀行ver.)」などユニークなグッズ販売を早くも展開。さらに公式ブックの発売や「朗読劇」企画など、多様な派生企画でフォローしながら、『半沢直樹』ファンの熱量維持に奮闘していたのだった。
ファンの熱量を象徴したのは、撮影が滞ってしまったことを逆手にとって9月6日、急きょ生放送された『生放送!!半沢直樹の恩返し』の数字だろう。視聴率22.2%を記録(ビデオリサーチより・関東地区)し、コロナ禍という有事の最中、ある種の一体感を作り出し、スタッフや出演者の熱意を伝える“ファンミーティング”のような盛り上がりを作り出した。
これら一連の動きについて、ポップカルチャーを専門とする早稲田大学招聘研究員の柿谷浩一氏は「大衆を楽しませる方向性が明確だった」と解説する。
「見逃し配信などのタイムシフト視聴は便利な反面、本来あるテレビドラマの特性を損ねている部分もあります。それが、イベントとしての機能です。固定した“場”と“時間”に人々は集う。重要なのは、その数より、そこで生まれる熱気やにぎわいの方です。
実際に観るかどうか分からない未来の視聴者に寄せるのではなく、視聴者を『日曜劇場』という会場でどーんと待ち構える。休日を過ごす大衆にとって、それが刺激的なイベント会場になれていた点が大きいですね。作品そのものが、半沢本人のように威風堂々としていました。これぐらいの姿勢じゃないと、ますますテレビドラマはネットドラマとの違いがなくなってしまいます」