アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が、10月16日の公開からわずか10日間で107億円に達した。国内での100億円突破の史上最速で、2001年公開の「千と千尋の神隠し」の25日間を19年ぶりに大きく更新したというから驚きだ。コロナ禍の映画ながら、そんな“鬼スタート”を後押しした一つが、入場者特典だった。
今回は、原作者の吾峠呼世晴が描き下ろした漫画などが収録された冊子「鬼滅の刃 煉獄零巻」が入場者に配られた。450万部が用意されたが、早いところでわずか3日間で配布が終了。がっかりしているファンも多いという。
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過去にも2009年公開のアニメ映画「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」では小冊子が特典として150万部用意され、12年の「ONE PIECE FILM Z」ではさらに100部増やし、250万部を配布した。今回の「鬼滅の刃」はさらに200万部を上乗せしているが、ここまで早く終了するとはさすがに予想できなかっただろう。
何度も鑑賞するファンも多く、家族4人でも人数分もらえることから、受け取りを一部拒否する人もいたというのは、鬼滅ファンらしい“正義感”を感じる話だ。一方で、今回の冊子には「転売禁止」が明記されているものの、既にフリマアプリに多数出品されており、その価格も徐々に高騰し、1000円を超えている。
人気に便乗して、海賊版DVDを販売したとして会社員の男が逮捕されるなど、ネット上では非正規品が多く出回っている。記者自身も長男にせがまれて、「鬼滅の刃」のジクソーパズルを通販サイトで購入したが、相場より高く、中国から届いたものは粗悪品で、明らかに非正規品だった。ファン心理を逆手にとって、違法な金儲けを企む人が少なくないのも事実だ。
映画関係者は「『鬼滅の刃』が308億円を超える可能性は十分」とも。ネット上での売買は完全に規制するが難しいだけに、特典を増刷するなどの対応策も必要か。ファンの良心はもちろん、そんな“鬼”を見極めるのが大事だろう。(す)