上方歌舞伎の第一人者で人間国宝の歌舞伎俳優、坂田藤十郎（さかた・とうじゅうろう、本名・林宏太郎＝はやし・こうたろう）さんが１２日午前１０時４２分、老衰のため東京都内の病院で死去していたことが１４日、分かった。８８歳。この日、妻で元参院議長の扇千景さん（８７）ら親族によって密葬が執り行われた。１月に腰痛で舞台休演後にパーキンソン病が判明。療養を続けていたが、静かに人生の幕を下ろした。
藤十郎さんの長男、四代目中村鴈治郎と次男の三代目中村扇雀は訃報が流れた１４日深夜、書面でコメントを発表した。
googletag.cmd.push(function() { googletag.display('div-gpt-ad-Rec_Article'); });
偉大な父の背中を追い続けた兄の鴈治郎は「最後まで若々しく、ずっとスターでいたのを目の前で体感させてくれた人です。そしてそのままスターのままで逝ってしまいました。世界中で一番おふくろが親父のファンだったと思います」と悲しみに暮れた。
今年１月の大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」を腰痛で休演した父の代役を務めた弟の扇雀は「子供の頃から父はスター街道をひた走っておりました。自分の芸のことにはとても厳しく、自分の芸を高めていくことに人生をささげていて、その背中をずっと見続けてきました。『一生青春』をモットーに息子も孫もライバルに思っている人でした」と脱帽した。
藤十郎さんと上方歌舞伎を牽引してきた人間国宝の片岡仁左衛門（７６）は「大先輩であり、上方歌舞伎役者の旗印で私の心の支えでもいらっしゃいました。上方色の濃いあの素晴らしい芸に接することができなくなりましたのは非常に残念でなりません」と悔やんだ。