戸田恵梨香の主演作「あの日のオルガン」が異例のロング上映
戸田恵梨香の主演作「あの日のオルガン」が異例のロング上映
映画「あの日のオルガン」のワンシーン(提供写真)【拡大】 NHK連続テレビ小説「スカーレット」でヒロインを演じる戸田恵梨香(31)の主演映画「あの日のオルガン」(今年2月公開)が劇場公開終了後も全国の文化センターや公民館など約200カ所で上映会が開かれる異例の“ロングヒット”となっている。 同作は太平洋戦争末期の1944年、日本で初めて園児を連れて集団疎開した東京・戸越保育所の実話をもとにした物語。メガホンを執ったのは、長年にわたり山田洋次監督(88)とのコンビで共同脚本や助監督を務めてきた平松恵美子監督(52)だ。 戸田は主任保育士の板倉楓役を演じ、子供たちの命を守るため、空襲警報で防空壕(ごう)への避難が続く東京からの集団疎開を決断。父母を説得し、埼玉・平野村(現蓮田市)の妙楽寺で若手女性保育士と53人の子供たちが疎開生活を開始するも、慣れない生活で疲労が蓄積。戸田とW主演の大原櫻子(23)演じる天真爛漫(らんまん)な“みっちゃん先生”こと野々宮光枝がオルガンで子供たちを勇気づけるものの、平野村にも空襲警報が鳴り響く日が訪れる…。 ロング上映のきっかけは7月下旬、ロケ先の蓮田市にある蓮田市総合文化会館での上映会。「子供たちを必死に守る保育士の姿を通して平和の大切さを訴えたい」という同市民の有志らの呼びかけて上映が決まり、平松監督や同作に出演した女優、堀田真由(21)も駆けつけてトークショーを開催。4日間で約4100人が鑑賞する人気ぶりだった。その盛況ぶりが保育関係者を中心に口コミやSNS上などで話題となり、今後の予定も含め約200カ所で上映される。 可能な限り全国の上映会に参加している平松監督はサンケイスポーツの取材に「正直、会場ではこんな映画があるとは知らなかったという声が多い」と説明した。 同作では戸田や大原、堀田のほかに佐久間由衣(24)、三浦透子(22)ら注目の若手女優を起用。平松監督は「戦争を扱うと雰囲気が重くなりがちですが、それ(若手起用)が良い意味で、作品の敷居を低くした」と分析。観客は女性が多いが、年配や家族連れに加え、戸田や若手キャスト陣のファン層である20~30代の姿もあり「SNS世代でも話題になった」と付け加えた。 8月には平松監督の故郷、岡山・倉敷市真備町でも上映会を開催。昨年の西日本豪雨からの復興支援の意味合いも込められ、戸田と大原はビデオメッセージを寄せて被災者を喜ばせた。 平松監督は「例えば自然災害で、安全のために大切な子供を誰かに預けなければならない状況だってあり得る。今回の全国的な広がりを目の当たりにして、見る人や地域によってさまざまな解釈がある作品だと改めて気付かされた」と話している。 今回のように上映会が全国展開した例に、1993年から2000年にかけて公開された山田洋次監督「学校」シリーズがあるが、同作は劇場公開のヒットも要因だったという。ほかには11年公開の吉井一肇(20)主演の「エクレール・お菓子放浪記」。東日本大震災発生の約5カ月前に被災地の岩手・石巻市などで撮影され、映像に残る震災前の美しい町並みが自然災害の脅威や防災意識の大切さなどを伝えるメッセージとなった。 「あの日のオルガン」のロングヒットについて平松監督は「地域のコミュニティーでは知り合い同士も多いし、作品を話題に世代を超えて会話してくれることが一番うれしい。今回で言えば、例えば、おばあちゃんやおじいちゃんは疎開先で、まさしく劇中のあの子だったと話したりして盛り上がってくれている」と感謝。都市部から地域に浸透する作品公開の流れに手応えを感じていた。 現在は盛岡ルミエール(24日まで)と一関シネプラザ(17日まで)の岩手2カ所などで上映中。現在も上映会の依頼は増えており、来夏までに計500カ所での上映が見込まれている。
[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 戸田恵梨香の主演作「あの日のオルガン」が異例のロング上映