もっとも米国側としては、「日本」というより「同盟国」としての協力関係を強化したい思惑が見える。日米共同声明で「台湾」に言及したのは52年ぶり。やはり中国との競争、対立が激化する中での同盟強化だ。福島第1原発の処理水放出決定を米国がいち早く支持したのも、こんな背景があったのだろう。
日本にとって日米同盟は外交の基軸。だが中国が絡むと厄介でもある。日本の経済は米・中の“両肺”で呼吸しているといわれる。世界人口の約5分の1を擁し、GDPも日本を抜き世界2位の経済大国。地理的にも近隣国で、インバウンドの中心。自民党の二階俊博幹事長を筆頭に、国会議員にも親中派が数多くいる。そんな中で、菅政権は米国側に大きくかじを切ったように見える。
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ただ、外交はウィンウィンでなくてはならない。東京五輪開幕まで100日を切った。五輪を成功させた勢いで衆院解散総選挙という筋書きならば、せめてバイデン大統領から米国選手の大会参加について確約を取れたのか。トランプ前大統領時代から良好関係を構築しながら、ワクチン後進国となってしまっている現状を打破するメドを立てられたのか。菅首相からの“お土産”を期待したい。(政治評論家)=毎週日曜掲載