広瀬すずの“憑依的な演技”が光る初舞台作品「Q」/芸能ショナイ業務話
広瀬すずの“憑依的な演技”が光る初舞台作品「Q」/芸能ショナイ業務話
初舞台の公開けいこを行った広瀬【拡大】 チケットが取れないと話題の野田秀樹氏の舞台「Q:A Night At The Kabuki」を鑑賞した。 シェークスピアが生んだ不朽の名作「ロミオとジュリエット」の悲恋をベースに、2人のロミオと2人のジュリエットを松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳が演じる“常識破り”の舞台で、音楽はQueenという斬新な作品だ。 すずと志尊のカップルが禁断の悲恋に身を焦がす源の愁里愛(じゅりえ)と平の瑯壬生(ろうみお)を演じ、松と上川が実は“生きながらえていた”というそれからの愁里愛とそれからの瑯壬生に扮する。 若き日のロミジュリの悲しい運命を回避するべく、それからのロミジュリが運命を先回りしてあれこれ奔走する第1部。5日間の恋に身を焦がす、すず&志尊の純粋な姿に涙がこぼれるかと思えば、間髪入れず、松&上川が運命を変えるために暴走しまくる滑稽ないちずさに笑ってしまう、というようなめまぐるしい楽しさに魅了される。 第2部は、実は生きていたそれからのロミジュリが戦争によって再び悲しい運命をたどり、面影となった若いロミジュリが大人の2人を見守るという展開で、悲恋から壮大な愛に話は昇華されていく。 第1部であんなに笑っていたのに、第2部では想定外ともいえる深く悲しいテーマに胸がおしつぶされ、それでも愛とはなんぞや、と突きつけられるクライマックスには感動で言葉を失う。劇場を出た後にもう一度、涙がこみ上げてくるような作品だった。 とにかく4人のロミジュリが豪華すぎて、キャストがステージに出てくると“見逃したくない”とその表情や動きにくぎ付けになる。 4人とも大スターというオーラはもちろん、松と上川の絶対的な安定感はさることながら、すずと志尊のまっすぐで激しい演技は、役者なら誰もが憧れる野田作品と素晴らしいキャストに囲まれ、“自己最高記録”を超えようと全身全霊で挑む若々しさにあふれている。 すずは、初舞台とは思えないほど声が美しく通っている。ロミオを狂おしく求める“憑依的な演技”も新鮮だ。何より、登場するだけで舞台に花が咲くような“ヒロイン・オブ・ヒロイン”の存在感は天性の才能としかいいようがない。 映画「海街diary」で一気に脚光を浴び、瞬く間に今をときめくスター女優にのぼりつめたすず。さまざまな作品で経験を積み、9月末に終了したNHK連続テレビ小説「なつぞら」のヒロインも見事に演じきった。これまでの映画やドラマのキャリアを見れば、名実ともに進化は一目瞭然なのだが、一つ一つの作品はあくまで“点”なのでは、思えるほど今回素晴らしかった。 演技、アクション、オーラ…これまで培ってきた女優としてすべての集大成を、「Q」という3時間の舞台でノンストップの“線”として見せてもらった思いだ。 ただ、それはもちろん節目の通過点にすぎない。これから年齢もキャリアも重ね、松と上川が演じた“それからのロミジュリ”を志尊と一緒に演じる日が来るのでは、と終演後に想像してしまった。(記者のきもち)
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