【写真】キュートなミニスカートで始球式を行う浜辺美波
元弁護士・白沢真実(浜辺)と詐欺師・黒沢賢介(岡田将生)が依頼人に代わって悪人を懲らしめるエンターテインメント。真実は議論に負けそうになると寝たふりをしたり、将来書く自伝のためにICレコーダーに自分の話を日常的に録音するなど、風変わりなキャラクターだ。
物語の中でボケを連発。9日放送の第1話では、額にドアをぶつけられて「痛いじゃないか!」ではなく「額じゃないか!」と怒ったり、「海の藻くずと消えました」と言うべきところを「海のモズクと消えました」と言うなどして笑いを誘う。
浜辺のボケには、良い味がある。奇抜な言動でも無理を感じさせない。自然な印象が強いから、痛々しさを伴わず、笑いが生まれやすい。
このドラマを制作する東宝映画の川田尚広プロデューサーは「浜辺さんのコメディエンヌとしての資質に自信があった。それを思い切り生かそうと考えた」と明かす。
浜辺が演じる真実は、熟考する時、左手の人さし指と中指を右手で握り、その右手の人さし指と中指を立て、それを前後左右に激しく動かす。物語の中で、突発的で意味不明な行動だ。ドラマに登場する同席者も、テレビで見る視聴者も、面食らう場面だが、実はあの動きは「混沌(こんとん)の荒武者」との異名を持つプロレスラー・後藤洋央紀がかつて滝行した際の動きがヒントになっている。いずれにせよ、唐突だ。
川田氏は「浜辺さんは元ネタを知らないでやっている。台本には書かれておらず、現場で監督から『こんな感じでやってほしい』と言われたもの」と説明。ボケの場面は浜辺にとって、むちゃぶりの連続だが「浜辺さんは『エ~ッ?』とはならず、面白がって取り組んでくれる。しかも、原案よりパワーアップしてくれるところもある。何事も咀嚼(そしゃく)して自分のものにする能力が高い女優さんだと思う」とたたえる。
浜辺がボケ担当ならば、ダブル主演の岡田将生はツッコミ担当。2人はこのドラマが初共演で、最初は「初めまして」のあいさつから始めたものの、撮影が進むにつれ、笑わせる芝居に関して2人で間合いを相談するようになったという。
川田氏は「2人の掛け合いは話数を重ねるごとに、どんどんドライブがかかる感じ」と話す。
この連ドラは1話完結で全7話。第1話の復讐相手は大手ゼネコン御曹司だったが、16日放送の第2話の相手は女性教祖。川田氏は「話はいくらでも作れるので、シリーズ化できるといい。浜辺さんと岡田さんのコンビはとても面白いので、長く活躍を見たい」と先を見据える。
浜辺はシリアスな演技ももちろん素晴らしいが、コメディエンヌの魅力は破格。「タリオ」は彼女の代表作のひとつになるだろう。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。