番組では、アナウンサーが時間内に「事実と異なる発言があった」と謝罪した。デヴィ夫人は、誤りを一部認めたが、発言は撤回しなかった。
■中絶について、「絶対に禁じりゃいいんですよ」
関西テレビで2020年10月24日に放送されたバラエティ番組「胸いっぱいサミット!」で、菅義偉首相が掲げる不妊治療の保険適用拡大に話題が及んだときだ。
元プロレスラーの北斗晶さんが、友人が治療を受けたがお金がかかるとして、政府の補助を歓迎する意見を述べると、デヴィ夫人は、その考えに同意したうえで、こう持論を述べた。
「それよりも前に、日本の女性たちに、掻爬(そうは)をさせないことが一番よい。不妊になる一番の理由は、妊娠して子供を産みたくないって言って、掻爬のことなんて言う?」
掻爬とは、中絶の方法の1つで、子宮内の胎児を体外に出す手術を指す。他の出演者が中絶の別称「堕胎」のことだと伝えると、デヴィ夫人は、こう続けた。
「あれを絶対に禁じりゃいいんですよ。皆さん知らないけれど、不妊になるのはあの堕胎が原因です。掻爬といって子宮の中を掻くわけですよ。だから先生によっては、もう傷をつけちゃう子宮内に。そうすると絶対に着床しないんですよ」
ここで、番組のアナが「一部そういった考え方もありますよね」と説明を加えると、「わたくし絶対正しいです!」と反論した。別の出演者が「堕胎をしていなくても不妊になっている方たくさんいらっしゃいます」と言うと、「でも、それはウソです。前に付き合っていた男の人とそういうことにあって、もう堕胎しましたということを言えないじゃないですか、女性は。隠してますよ、全員が」とさらに弁明した。「原因の9割9分は堕胎」発言の数字は、誤りだと認める 出演者から「ご高齢になられてからも、お子様を持ちたいという方々もたくさんいらっしゃる」と話があっても、デヴィ夫人は、遮るようにしてこう話した。
「本当に不妊の方いるかもしれない。でも、ほとんどの原因、9割9分はもう堕胎です。全員堕胎です」
これに対し、番組アナが「堕胎が悪ということではないですからね」と口をはさみ、この話題から逸らした。
しばらく時間が経ってから、デヴィ夫人が「さきほど私が…」と切り出し、番組アナが「後で入りますね」と遮ったが、デヴィ夫人は納得せず、「すみません、ちょっとその前に私が一言申し上げたい」と発言した。
「数字に誤りがあったようなので、こちらで謝らせていただきます。失礼いたしました」
数字とは、不妊の原因は堕胎が9割9分ということを指すらしい。すると、番組アナが次のように謝罪の言葉を述べた。
「先ほどのことなんですけれども、では、私から申し上げます。先ほど不妊治療の保険適応拡大の話題について、事実と異なる発言がございました。不快に思わせた方々にお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」
しかし、その途中からデヴィ夫人が口をはさみ、「事実とは異ならないです」と強く反論した。そのうえで、「数字が違っていたかもしれません。それは謝らせていただきます」と弁明した。
番組アナ3人は、それには構わない様子で、最後に「失礼しました」と言って頭を下げていた。
番組の放送後には、不妊症の患者とみられる人たちから、デヴィ夫人の発言にツイッター上などで非難が相次ぎ、医師からも、不妊の一番の理由は中絶だとする主張は事実と違うと指摘が出た。
この点について、厚労省の母子保健課では10月26日、J-CASTニュースの取材にこう話した。