劇作家、評論家の山崎正和さん死去

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劇作家、評論家の山崎正和さん死去
山崎正和さん【拡大】

 「柔らかい個人主義の誕生」などの著書で知られ、劇作家や評論家として幅広い表現活動を展開した大阪大名誉教授で文化勲章受章者の山崎正和(やまざき・まさかず)さんが19日午前3時2分、悪性中皮腫のため兵庫県の病院で死去した。86歳。京都市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。 幼少期を旧満州(中国東北部)で過ごし、終戦後に引き揚げ。高校時代から詩作を、京都大大学院在学中から劇作を始めた。1963年に戯曲「世阿弥」で「新劇」岸田戯曲賞(現岸田国士戯曲賞)を受賞。「実朝出帆」(文部省芸術祭優秀賞)や「オイディプス昇天」(読売文学賞)などで、緊密な構成のせりふ劇に人間の不確定な自我の姿を投影する劇世界をつくり出した。 文芸評論から出発し、価値観が相対化した時代の人間の在り方を、文化論・文明論的な視野から考察する多彩な評論活動を展開。「劇的なる日本人」で72年の芸術選奨文部大臣新人賞、「鴎外 闘う家長」で73年の読売文学賞を受賞した。評論家の川本三郎さんの話「ご一緒するたび、世の中にこんなに頭のいい人がいるのかと驚かされました。歴史から政治、経済まであらゆるものに通じ、下世話なジョークまでお上手。サロン文化の重要性を説いて、異なる分野の方が集まり仕事をする場をつくってくれました。それは政治的な野心ではなく文化的な豊かさを目指したから。明治の文学者を論じた「鴎外 闘う家長」「不機嫌の時代」は私のバイブルです。文明を語るスケールの大きい方でした」

[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 劇作家、評論家の山崎正和さん死去