【写真】「分析キャラ」として注目を集めている徳井健太
第1回目は「東野幸治」について。ヒーロー「東野幸治」からの指名 良いことだろうと悪いことであろうと、世の中のこと全ては真に受けちゃいけない。適当にあしらって受け流さなきゃならない。昔から好きでしたとか、またこのメンバーでお仕事しましょうとか、生まれ変わっても一緒になろうとか、そんな素敵な言葉の全てに感謝感動はしてもいいけれど本気にしちゃいけない。
初めまして、平成ノブシコブシ・徳井健太です。約1年前まで、東野幸治さんが吉本芸人を愛情たっぷりだが容赦なくいじり倒した「この素晴らしき世界」というコラムを「週刊新潮」で書いていました。そのコラムの後任に、なんと東野さんの口から「ノブコブ徳井くんがええんじゃないか」とご指名頂いた、らしい。
でも、真に受けちゃいけない。
全部不確定な情報だし、ご本人から聞いたわけでもないし、あくまでそんな噂があるだけだ。けれど嬉しい。感謝感激雨あられ。
東野さんの電話番号を知っているわけでもツイッターをフォローしているわけでもないから、この気持ちを直接伝えることはできないが一人で歓喜した。
なんせ「ダウンタウンのごっつええ感じ」に出ていた人だ。
30年近く前、僕と同じ90年代に多感な時期を過ごした30代40代で、このコント番組の影響を受けていない人間なんていない。特に芸人を志した人には、それこそ宗教のように深く頭と心に刻まれ擦り込まれている。
圧倒的なカリスマ性と面白さ。
笑わせるということの格好良さと尊さを、毎週日曜日の夜8時に教えてもらっていた。そんなヒーロー東野幸治さん。僕は芸歴20年くらいになるが、お会いしたこともお話ししたこともほとんどなかった。「ホワイトデビル」との出会い徳井健太 それが突然、去年の夏に「よしもと芸人音声データ」という、東野さんがMCで毎回芸人をゲストに招き話を聞くラジオみたいな番組への出演が決まった。僕はその番組の存在を知らなかったが、桂三度さんと「天津」の木村卓寛さんもレギュラーだった。
何も聞かず、何の打ち合わせもなく、ただ吉本本社でぼーっと待っていると突然小さなスタジオに何人かいたスタッフたちが立ち上がった。するとホワイトデビルと呼ばれる男が、本番の3分前に入ってきた。
「ごめんなー」と言っていた。うわー、東野幸治だ、と僕は思った。
「いやー、木村くんがなー、なんやかんやで出られなくなってん、知ってるよな? ごめんなー」
大きな声で笑いながら、持っていた小さなカバンを下ろし、「やろか」と言ってそのまま小さなスタジオの中にある更に小さなレコーディングスタジオみたいな所に東野さんは入っていった。え、もう本番ってこと? 嘘でしょ? そう思ったが僕もつられてその狭い空間に入り、二人きりになった。
外から重たいドアが閉められ「よしもと芸人音声データ」と東野さんが大きな声を出すと、そのまま1時間のラジオ収録が始まった。