適任の会長候補は橋本聖子氏(56)しかいなかったのだろう。後任会長の資質として、候補者検討委員会が提示した「5つの観点」に、菅義偉首相が望んだとされる「若さ」と「女性」という要素を加えれば、条件は7つ。全てに合致したのが橋本氏だった。
橋本氏の背後には、自身の政界入りへの道をつくるなど関係の深い森喜朗前会長の陰がちらつき、「森院政」などと批判の声も上がるかもしれない。
しかし、昨春の東京大会の開催延期発表の時点で、橋本氏は五輪相を務めており、事情や背景を熟知している。辞任に追い込まれた森氏から東京大会の顔が橋本氏に代わることで、大会のイメージは明るくなり、若返る。開催に後ろ向きな国内の機運の盛り上げにつながれば、東京五輪開催の実現が生命線である菅政権にとってプラスだ。
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後任の五輪相は丸川珠代氏(50)。国際オリンピック委員会(IOC)、東京都とのトップ級4者会合が開催されれば、バッハ会長以外の3人はすべて女性となる。今回の騒動で傷ついた東京五輪のイメージアップにつながる。
ただ、気がかりなのは、橋本氏の過去のセクハラ疑惑だ。内外のメディアに醜聞を蒸し返されても、対応策は万全という判断がなされた上での要請、受諾なのだろうか。他に適任の候補がいなかったからという“見切り発車”であれば、不安が残る。(政治評論家)