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軍医でもあった明治の文豪森鴎外(1862~1922年)が部下に宛てた未発表の手紙24通が見つかったことが17日、京都市の国際日本文化研究センター(日文研)の調査で分かった。うち1通には、外国文学作品の訳について助言したとみられる内容が記されていた。
1918年11月2日付の手紙には、英訳されたとみられるフランスの小説に登場する女性のせりふの意味を、部下に問われた鴎外の返答が記されていた。
鴎外はフランス語の原書を参照して一部をドイツ語に翻訳した上で、「べらぼうですわ」などと生き生きとした日本語に重ねて訳していた。手紙は本名の森林太郎名で巻き紙に墨で記されていた。
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鴎外はアンデルセンの「即興詩人」など欧州の文学作品の翻訳を多く手掛けたことで知られ、手紙の分析に当たった日文研の石川肇助教(近代文学)は「ドイツ語を基盤にしていた鴎外の翻訳方法がうかがえる、興味深い資料」と指摘している。
鴎外は16年に陸軍を退官しており、手紙を書いた当時は帝室博物館(東京国立博物館)の総長を務めていた。