四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを命じた昨年1月の広島高裁の仮処分決定を不服とした四国電の申し立てによる異議審で、広島高裁(横溝邦彦裁判長)は18日、異議を認め運転を容認する決定を出した。
仮処分は伊方原発の50キロ圏内にある山口県東部の三つの島で暮らす住民3人が申し立てた。原発が立地する佐田岬半島北岸部に活断層が存在するかどうかや、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の想定、阿蘇カルデラ(熊本県)の噴火リスクの評価などが争点だった。
昨年1月の広島高裁決定は「四国電の地震や火山リスクに対する評価や調査は不十分だ」と指摘。安全性に問題がないとする原子力規制委員会の判断には誤りがあるとして、運転差し止めを命じた。
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異議審で四国電側は、詳細な海上音波探査で活断層がないことを確認し「巨大噴火は差し迫っていない」と主張。住民側は「活断層の調査が不十分。火山の影響評価も過小だ」と訴えていた。
3号機は2019年12月から定期検査のため停止中。四国電は、東京電力福島第1原発事故後に策定の新規制基準で義務付けられた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)工事を進めている。