日本銀行本店(中央区)の道向かいにあり、2連アーチが特徴的な歩行専用の常磐橋。同震災で路面や橋全体に大きなゆがみが出て、アーチを構成する輪石も落石の危険性が生じた。管理する千代田区は直後に通行止めにして解体。可能な限りもとの材料を使用し、伝統的な石積技術により慎重に復元を進めた。
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解体の過程で、江戸城小石川門の石垣の石を使っていたことが判明。池田藩(岡山)の石材であったことから、岡山から石を調達するなどこだわった。工事の設計を手掛けた文化財保存計画協会によると、石と石の間がモルタルで埋められていたため手作業で取り除く必要もあり、時間を要したという。
昨年来の新型コロナ感染拡大の影響もあり予定よりやや遅れたが、約36億円をかけた工事がこのほど終了。震災前から欠損していた橋脚下部の水切り石も、古い写真や昭和初期の図面を解析してよみがえった。創建当時は馬車や人力車が通行しており、同区文化振興課は「(鋳鉄製の)手すり柵、歩車道の分離は明治初期の意匠を表現している」と話している。
常磐橋
常磐橋東京都千代田区と中央区をまたぎ日本橋川に架かる。もともとは木橋があったが1877年に石橋として建造。都内に現存する最古の石橋(庭園内のものを除く)とされる。長さ約31メートル、幅約11メートルの歩行専用橋。1923(大正12)年の関東大震災でも損壊し、約50メートル下流に「常盤橋」(同じ『ときわばし』だが『盤』の字が異なる)を新設。1988(昭和63)年には約50メートル上流に「新常盤橋」が建造。この2橋は車両が通行する。隣接する常盤橋公園には渋沢栄一の銅像がある。