劇場再開へ試行錯誤するエンタメ界、芸人の稼ぎ方にも変化/芸能ショナイ業務話

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劇場再開へ試行錯誤するエンタメ界、芸人の稼ぎ方にも変化/芸能ショナイ業務話
 新型コロナウイルスの影響で現在、エンタメ界は大打撃を受けている。 劇場はいまだに再開できず、再開したとしても座席の間隔を確保したり、混雑したときは入場を制限したりするなど、厳しい経営が続くだろう。ドームやスタジアムなどで何万人も集まるイベントには綿密な対策が必要だし、これを機に人が密集するイベントを敬遠する人も出てくるかもしれない。 そんな中、ワタナベエンターテインメントが所属芸人による無観客生配信お笑いライブを有料課金で行った。2公演行い、料金は3000円と4000円。ライブ後にオンライン打ち上げというおまけもついて1000枚のチケットが完売したという。オンラインでも通常公演と同じくらいの料金設定だが、ニーズはあった。 ある劇場運営者はオンラインで配信する動きに「コロナが終わっても多分、このオンラインの仕組みは残る。こっちの方が楽だし、人件費も少ないし、お金の面を考えればこっちの方がいい。だけど、劇場という閉鎖された空間で起こる爆笑はなくなるでしょう。テレビっぽく、芸人が放送コードやコンプライアンスを気にするようになってしまう」と危惧していた。普段のライブと同じ料金で、劇場だったら入りきらない人数のチケットを売りきる。今後のエンタメの発信の仕方が変わるかもしれない。 劇場休館により、仕事がなくなった若手芸人の稼ぎ方もこの間にかなり変わった。わかりやすいのはYou Tubeチャンネルを開設した芸人が急増。さらにインスタライブやSHOWROOM、You Tube Liveなどの生配信で視聴者から「投げ銭」を得る仕組みも近年では誕生しており、活用する芸人が増えた。 また、クラウドファンディングサイトで支援金(ギャラ)を募り、少人数限定で芸人とオンライン飲み会や工作教室、恋愛相談のリターンなどで“飯”を食うことも可能となった。 ここで劇場を運営する側に立つとひとつの問題点が浮上する。例えば漫才。ひとつの漫才を作るまでにネタ作り、ネタ合わせ、ネタおろし、改良、またネタ合わせ…。とても労力がかかる割に劇場でのギャラは安く、コストパフォーマンスとしてはとても悪い。それに比べてオンライン飲み会や投げ銭で“ボチボチの”お金を得ることができると、劇場の仕事を軽視しかねないということだ。劇場係員、美術、照明、舞台作家…。劇場に関わる人はとても多く、人件費がかさむ。ひょっとすると、エンタメ界における現在のチケットの値段設定は激安なのかもしれない。 それでも前出の劇場運営者は「僕も芸人さんに無観客ライブ配信を提案したのですが、『金のためにやってない。ネタを試すことが一番だから、お客さんがいないと意味がない。ウケなかったところをどんどん改良していきたいから』と断られました。これを聞いたときはめちゃくちゃうれしかったですね」と従来のライブの形にこだわるコンビもいるそうだ。 コロナで変わる生活様式。パフォーマンスのレベルが下がることだけはあってはならない。(わたなべ)
[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 劇場再開へ試行錯誤するエンタメ界、芸人の稼ぎ方にも変化/芸能ショナイ業務話