河井夫妻、逮捕状請求へ　昨夏参院選で買収容疑

　河井案里参院議員（４６）＝広島選挙区＝が初当選した昨年７月の参院選を巡り、票の取りまとめなどを依頼する目的で、地元の広島県議らに現金を配ったとして、検察当局は１８日、公選法違反（買収）の疑いで、夫で前法相の河井克行衆院議員（５７）＝広島３区＝と案里氏の逮捕状を請求する。同日中に逮捕する方針。　克行氏は首相補佐官を務めるなど安倍晋三首相に近く、案里氏の参院選出馬は官邸、自民党本部が主導した。夫妻が同時に刑事責任を問われる事態となり、安倍政権へのダメージは必至だ。　関係者によると、克行氏の関係先から押収されたリストなどから、約１００人に対して克行氏が計約２４００万円、案里氏が計約１５０万円を渡した疑いが持たれている。約１００人の大半は検察当局の事情聴取に受け取りを認めている。　参院選では党本部が夫妻側に１億５０００万円を提供。検察当局は１億５０００万円が買収の原資となった可能性や、夫妻間での買収の共謀の有無も慎重に調べる。　広島選挙区で自民党は２議席独占を狙い、県議だった案里氏を擁立。案里氏が初当選する一方、競合候補で自民党現職だった溝手顕正氏は落選した。　案里氏の公設秘書は１６日、参院選で車上運動員に法定上限を超える違法な報酬を支払ったとして執行猶予付きの有罪判決を言い渡された。連座制の適用対象で、案里氏が失職する可能性が高まっている。　克行氏は広島県議を経て１９９６年に衆院議員に初当選し、現在７期目。法務副大臣や首相補佐官などを務め、昨年９月に法相に任命されたが、案里氏陣営の公選法違反疑惑が発覚し、翌月辞任した。