【飯島七段の目】驚いた52手目の△4五歩 「攻めてこい」と突きつけた一手、円熟棋士の指し回しと錯覚/将棋

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【飯島七段の目】驚いた52手目の△4五歩 「攻めてこい」と突きつけた一手、円熟棋士の指し回しと錯覚/将棋
 高校生棋士で後手の藤井聡太七段(17)が、「現役最強」と評される渡辺明棋聖(36)=棋王・王将=を下し、3勝1敗で初タイトルの棋聖位を獲得。17歳11カ月で史上最年少タイトル獲得の記録を30年ぶりに更新した。17歳の棋士が盤面でみせた強さについて、飯島栄治七段(40)は「今回の対局では3つの驚くべき手があった」と分析した。 17歳の挑戦者が、現役最強の棋士を破った。今シリーズで最高の一局になった。 藤井新棋聖は、札幌で王位戦第2局を戦い、わずか中1日の強行軍で大一番に臨んだ。だが対局前の表情に疲れは見えず、勝負への情熱があふれていた。渡辺棋聖が敗れた第2局と同じ攻防一体の「急戦矢倉」で臨んだことで、中盤すぎまでペースを握られた。それでも我慢を貫き、相手のミスを待ち続けた。 52手目の△4五歩には驚いた。渡辺棋聖の銀の鼻先に「攻めてこい」と突きつけた一手。円熟した棋士の指し回しと錯覚するほどで、“藤井流”の要素が詰まっていた。 勝利を引き寄せたのは、相手の最強駒の飛車を止めようと指した80手目の△3八銀。持ち駒の銀を使ったが、普通の棋士なら「もったいない」とためらう。だが、この一手で飛車を追いやり、形勢を変えた。 64手目の△2五金は“異次元の手”と感じた。守り駒の金を、この手から敵陣に攻め込ませ、最後は相手玉への寄せにまで参加させたからだ。 いずれも常識外れで独創的な手だが、コントロールできるのは頭の中に描いた盤面の読みが正確なのだろう。会場内の控室で、弟子の勝負を見守っていた杉本昌隆八段(51)ら複数の棋士たちと、中盤以降の両雄の手を検討しあったが、ほとんど当てることができなかった。 藤井新棋聖の強烈な個性と1ランクも2ランクも上の棋力に、「置いてけぼりにされてしまう」と危機感を持った棋士は私だけではないだろう。棋聖位を奪われた渡辺二冠もこのまま終われない。新時代の始まりを感じた一局でもあった。
[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 【飯島七段の目】驚いた52手目の△4五歩 「攻めてこい」と突きつけた一手、円熟棋士の指し回しと錯覚/将棋