地道に菅氏、テレビに岸田氏、スッキリ石破氏　街頭演説なし…三者三様、静かな選挙に

菅義偉官房長官は官邸入りし、台風１０号に備えて危機管理に全力を挙げた（撮影・春名中）【拡大】

　自民党の総裁選挙管理委員会（委員長・野田毅元自治相）は４日、今回の総裁選期間中は街頭演説を実施しないなど詳細な日程を決めた。自民党総裁選は事実上、次の首相を決める選挙だけに、毎回行っている全国遊説を行わないのは極めて異例。一方、出馬表明予定の菅義偉官房長官（７１）、岸田文雄政調会長（６３）、石破茂元幹事長（６３）の３人は、無派閥議員の票固めやテレビ出演などそれぞれの選挙戦を展開した。　７月の東京都知事選などで問題となった街頭演説や集会での新型コロナウイルス対策。約２カ月後も依然として同様の課題に直面した。　「（街頭演説を）実施できれば一番いいが、日程的に大変厳しい。何より『３密』をどうするかがある」　野田氏はこう、記者団に説明した。その上で街頭演説を行わない代わりに公開討論会のインターネット中継対応を拡充。さらに党本部での討論会では入場者数を制限するなど、感染症対策に万全を期すとした。　委員会は今後の選挙日程を決定。８日午前に立候補の届け出を締め切った後、午後に候補者の所見発表演説会と共同記者会見を開く。９日に公開討論会を実施する。日本記者クラブ主催の討論会は１２日午後となった。　一方、出馬を表明している３氏は活発に動いた。菅氏は台風１０号接近に備える政府の関係閣僚会議に出席し、危機管理に全力を挙げた。支援する細田派や麻生派など５派閥の幹部らは、無派閥議員を直撃し支援を要請。５派閥以外の“領地固め”を図った。　岸田氏は党本部で新型コロナウイルス対策本部に出席。さらにフジテレビ系「バイキング」（月～金曜、前１１・５５）に石破氏とともに生出演した。　石破氏が「岸田さんを嫌いという人を見たことがない。私を嫌いという人はいっぱいいるけど」と自虐ネタを振ると、岸田氏は「石破さんのすごいところは豊富な経験や見識があり、発信のエネルギーがある」と互いに褒め殺しともいえるトークを繰り広げた。　石破氏は日テレ系「スッキリ」（月～金曜、前８・０）にも生出演し、菅氏の政策発表前に各派閥が支援に回った状況を「不思議だ」と疑問視した。午前中には衆院第一議員会館内の理髪店で散髪。「すっきりした。（ヘアスタイルに）『納得』です」とダブルでスッキリし、自身の掲げるキーワードも絡めた。　また、この日から縁なしを黒縁の眼鏡にチェンジ。「怖い顔が一層怖くなる、目が細くなるという指摘をもらい、こういうことになりました」と笑顔を見せ、“イメージ選”を展開した。