「仕事人内閣」が始動-。16日に発足した菅義偉内閣の閣僚20人の顔ぶれは、安倍晋三前内閣からの再任や入閣経験者が多く、路線継承の色が濃くなった。自民党の全ての派閥にポストを割り振った派閥均衡型で、自身の側近も登用。安定と能力重視の布陣といえそうだ。特に菅首相と同じ神奈川県内選出の河野太郎行革相は「改革の切り込み隊長」、小泉進次郎環境相は「選挙の顔」としての役割が求められる。
菅首相が目指す「仕事人」の内閣が動き出した。「国民のために働く内閣をつくっていきたい」と語ったが、前内閣から再任が8人、横滑りが3人。過去の安倍政権で入閣経験者も4人いる。安倍カラーの継承を打ち出した。
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中でも、河野行革相は「縦割り行政の打破」を担う切り込み隊長だ。菅首相から規制改革の一環として「縦割り110番」の設置検討を指示された。2015年にも行政改革担当大臣を務め、その後に外相、防衛相を歴任。堪能な英語を生かして諸国とわたり合った。行革担当はSNSで公私の情報を積極的に発信する「突破力」がものを言いそうだ。
この日、新閣僚の呼び込みで首相官邸に入る際には、かつて代表取締役を務めたJリーグ湘南ベルマーレのマスクを着用。ツイッターで「宮中は白、無地のマスクと指定されているので、ベルマーレマスクはここでおしまい」。さらには認証式直前にも、宮中からツイートした。
再任の小泉環境相は「首相からは気候変動対策に加え、訪日外国人客がなかなか見込めない中、観光面で大きいのは環境省が所管する国立公園で、魅力を上げていくよう言われた」と明かす。昨年9月、環境相に就任。気候変動対策をめぐる「セクシー」発言で物議を醸したが、石炭火力発電所の輸出制限など政策面で実績を残した。
昨年8月、夫人のフリーアナウンサー、滝川クリステル(42)と結婚した際には、首相官邸でまず菅氏に報告し、安倍氏に取り次いでもらった。今年1月、長男が誕生した後、小泉氏は現職閣僚として初の「育休取得」を宣言。菅氏も背中を押した。「選挙の顔」として活躍が望まれる。
将来の首相候補としても期待がかかる。この日の衆院本会議での首相指名選挙では、NHKから国民を守る党の丸山穂高氏が1票を投じる場面があった。
また、「デジタル庁」創設に向け、自民党内の第一人者の平井卓也デジタル担当相を充てた。さらに25年開催の大阪・関西万博を成功に導くために万博省を新設し、井上信治氏を担当に抜てきした。菅首相がいう「国民のために働く内閣」は、派閥均衡ながら、なかなか重厚だ。