【写真】背中側に立つ12台のカメラと同方向を向き笑顔、看板を持つジャケットとワイドパンツ姿の中居正広「昔はタレントの所属事務所に釘を刺されても、お構いなしに追い掛けていたし、切り込む質問もしていた。ワイドショーが高視聴率だったから突っぱねることができたのですが、今は局の編成部が注文を付けてくるので、芸能スキャンダルを取り上げづらくなっています」
制作費の削減も、現場に出づらい空気を醸成する。1982年にスポーツ紙記者から転身した城下尊之氏も、かつてとの違いに思いをはせる。
「昔は各ワイドショーにカメラクルーが6班いて、毎日稼働していましたが、今は会見があっても2つのワイドショー合同で1班出す場合すらあります」
時代も芸能レポーターに逆風が吹いた。インターネットやSNSが普及すると、芸能人が自ら結婚や離婚を発信するようになったからだ。だが、SNSでの発信は一方的になりがちになる。
同時に、会見の必要性を感じさせる出来事もあった。2016年のベッキーの不倫騒動では、報道陣からの質問は受け付けず、深々と頭を下げるだけという不自然な対応に疑問の声が噴出。直後に報じられた続報でイメージはさらに悪化した。1970年代後半から芸能レポーターとして活躍する前田忠明氏が、ベッキーの会見を振り返る。
「事務所の担当者にちゃんと質問させないと尾を引くよと助言しましたが、『方針が決まっているんだ』と言われました。会見ですべて話した方が次に繋がるものです」 今年、中居正広は独立会見でタブー視されていたSMAPメンバー不仲説や再結成の可能性にも言及した。
「会見後にSMAPの憶測記事が激減しましたが、すべての疑問に2時間も掛けて真摯に答えたのが一因でしょう」(前出・城下氏)
直撃取材や辛辣な会見が姿を消し、芸能人にとって良い時代が訪れたように思える。だが、炎上の可能性を秘める自己発信の落とし穴を考えれば、受難の時代と言えるのかもしれない。
※週刊ポスト2020年10月2日号