9月27日に急死した女優、竹内結子さん(享年40)。芸能界から悲しみのコメントが相次ぐ中、トレードマークでもあった「笑顔」とともに多くの人が「気配りの人」と故人を振り返った。その象徴が、現場への“こだわりのさし入れ”だった。
映画「僕と妻の1778の物語」(2011年)で共演した元SMAPの草なぎ剛(46)は、撮影現場に竹内さんが猪の肉を差し入れたといい、「一緒にしし鍋を作ったのが楽しい思い出」と回想した。舌の肥えた俳優をうならすために、A5ランクの黒毛和牛ではなく、あえて猪肉を選択。思いを込めた猪鍋で、心の奥まで温まったのは想像に難くない。
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振り返ると、竹内さんは2011年、著書「たけうちマルシェ 心に届くおいしいさしいれ102」(文藝春秋、1350円)を刊行している。
同著は竹内さんが09年8月から女性誌「CREA」で1年8カ月にわたり連載した「今月の差し入れ」の全20回分をまとめたもので、自身が自力で探した“感動スイーツ”から“極旨おつまみ”まで102種類のさし入れを、「初対面の人にもOKの万能さしいれ」「女子会さしいれ」「目上の方にきちんと手土産」などシチュエーション別に取り上げられている。
連載中から読者に好評で、単行本化が決定。本の帯にも、映画「ゴールデンスランバー」で共演した堺雅人が「竹内さんは本気でお菓子をかたる。芝居のときより、目がこわい」と推薦文を寄せていたほど。記念したトークイベントも開催され、竹内さんは「集まってくださる方々のオススメの差し入れを逆インタビューしてみたいです」と、貪欲に話していた。
竹内さんにとって、さし入れとは、“おもてなし”の意味合いが強かったに違いない。竹内さんが出演した映画やドラマが、今もなお評価されているのも、こだわりのさし入れが現場の一体感を高めていたのは間違いない。
「たけうちマルシェ-」は、ネットでプレミアもついて高値ではあるが、入手可能。その極意を垣間見ることはできるが、さし入れの達人でもある名女優の死は、本当に惜しまれる。(す)