市井の人々を被写体にした写真集「PERSONA」などで知られる写真家の鬼海弘雄(きかい・ひろお)さんが19日午前3時33分、リンパ腫のため東京都渋谷区の病院で死去した。75歳。山形県出身。家族葬を行う。喪主は妻、典子(のりこ)さん。
高校を卒業後、山形県職員となるが1年で退職し上京。法政大に入り、哲学者の福田定良さんに師事する。大学卒業後、トラックの運転手をしたり、造船所や遠洋マグロ漁船で働いたりしながら写真を撮り始める。
東京・浅草の浅草寺境内で、無地の壁を背景に撮影した肖像写真を収めた「王たちの肖像」が1988年、日本写真協会賞新人賞と伊奈信男賞を受賞。正方形のモノクロの画面で、市井の人々の内面を浮き彫りにするこの手法を長年続け、2004年「PERSONA」で土門拳賞と日本写真協会賞年度賞を受けた。
googletag.cmd.push(function() { googletag.display('div-gpt-ad-Rec_Article'); });
自動車工場の期間工などで資金をためてインドやトルコにたびたび出向き、写真集「INDIA」で「写真の会」賞。海外でも高く評価され、米国の写真美術館が作品を収蔵、ポーランドやスペインでも個展を開いた。
写真集に「東京夢譚」「アナトリア」など。著書に「世間のひと」「誰をも少し好きになる日」「靴底の減りかた」「眼と風の記憶」など。今年は北海道東川町主催の第36回写真の町東川賞に選ばれた。