【写真】磯山さやか、“かわいさ”あふれる撮り下ろし 愛犬リリーも一緒に撮影
■体型がコンプレックス…「痩せなきゃ」と悩んだグラビアデビュー当時
モーニング娘。にあこがれオーディションにも応募していた磯山だが、高2のときホリプロのタレントスカウトキャラバンで落選したことがきっかけとなり芸能界に入った。グラビアデビューを飾った当時は、まさにグラビアアイドルの黄金期。「海外ロケが当たり前のようにあって、勢いがあってすごい時代でした」と当時を振り返る。
だが、ぽっちゃり型の磯山はひそかに悩んでいた。グラドルのプロポーションにも流行があり、イエローキャブ軍団に代表されるグラマラスな体型が主流だったところにスレンダーなグラドルが台頭してきた。「当時、ぽっちゃりは太っているとしか見られなくて、『痩せろ』と言われたこともありましたし、オーディションもたくさん落ちました。体型がコンプレックスなのにビキニ姿を人に見せるのも恥ずかしく、最初は仕事を好きになれませんでした」。
20代半ば、ダイエット企画に挑戦した磯山に転機が訪れる。「必死になって目標を達成したのですが、ファンの皆さんから『なぜ痩せたの? 元のままでいいのに』という声が届いて、私の魅力はぽっちゃりというか丸みがあるところなんだなと確信したんです」。
その後女性誌でも、“ぽっちゃり特集”が組まれるなど、自身のプロポーションを肯定的に捉えることができる時代になってきた。
■志村けんさんとの出会いで広がったキャリア
グラビアで試行錯誤する中、もう一つの転機となったのが志村けんさんとの出会いだ。2010年から舞台『志村魂』やバラエティ番組『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)に出演。志村ファミリーの一員になった。
「私にとって本当に大切な出会いでした。最初はあの志村さんと一緒なんだと感激しつつも、現場では皆さんの足を引っ張らないよう必死でした。コンスタントにお仕事をさせていただくなかで、たくさんのことを学ばせていただきました。昔から同じコントでやっているのに、ずっといろんな年代の方が笑っているってすごいなって。間の取り方とかは勉強になりましたし、プライベートの会話の中から新しいネタが生まれることもあって、そばにいていつもワクワクしました」。
それまで経験がなかったコントというジャンルを「志村さんからもらえた」と表現する磯山。そしてそのコントで学んだことがその後のお芝居の仕事につながっているという。
「志村さんのコントは日常的なことをおもしろく見せるので、すごいお芝居をしてもダメだし、どうやって日常感を出すかを考えていました。別のお芝居の現場でも、無駄に緊張をしたりせず、自然な演技を心がけるようにしています」。
■「普通というのも一つの個性」 磯山流・芸能界で生き抜く術
磯山に20年間にわたり競争の厳しい芸能界を生き抜いてきた秘訣(ひけつ)を聞くと「目立ち過ぎず、ブレイクしなかったから良かったんじゃないかと思います」との答えが返ってきた。
「事務所的にはもっと売れたほうが良かったかもしれませんが」と前置きしながらも、「私が皆さんから求められているのは“普通”の感じかな、と思うんです。個性的な人が多い芸能界の中で普通というのも一つの個性なのかなって」と冷静だ。
そんな姿勢は、バラエティ番組の発言やSNSの使い方にも表れる。磯山のツイッターやインスタグラム、ブログ、どこを見てもいたずらに反響を誘う要素は皆無だ。「人を攻撃したくないし、見た人に嫌な思いをさせたくない。自分が発した言葉を相手がどう受け取ったかすごく気になってしまうんです。バラエティでは、もっとカメラに映るような強めの発言をした方がいいのかもしれませんが、私はその役割ではないし、そんなかたちでカメラに抜かれるのであれば映らなくてもいいのかなと。世のおじいちゃん、おばあちゃん方が見ても、安心できるような人になりたいんです」。
最近始めたYouTube「いそちゃんねる」も同様、最初の投稿はひたすら唐揚げを食べるという磯山らしい、なんとも平和なテーマだ。
■結婚したらグラビア卒業 30周年には芸能界にいない?
芸能活動20年という節目を経て、今後はどこを目指すのか。「グラビアはもし結婚したらやめます。ただ、まだ結婚していないので(笑)。いままで通りお芝居も含めバラエティも、いただいた仕事をしっかりできれば。20年も仕事をいただけていることが奇跡なので、一つ一つを丁寧に、量より質で頑張ります」と語る磯山。
次は30周年ですね、と水を向けると「いや無理です、もう30周年とかは芸能界いないんじゃないかなと思います」と笑うが、「一年一年頑張っているから、大きな目標をつくるとそれに負けちゃうんです。だから今は5年後、10年先を考えず、昔から応援してくださっている方に幸せな気分になっていただければいいかなと思っています」とその理由を明かす。
無理をせず、あくまでマイペース。磯山が20年間で培った“生きる知恵”なのだろう。「あとは助け舟。ロケの要員が不足しているとか、ここにちょっとベテラン感が欲しいというときにお手伝いできるポジションでいられたら、と。でも、ぬるま湯に浸からないよう自分が成長するための挑戦は今後もしたいです」。
尖らない、目立たない、普通の線を行く。一つの世界で長生きするには大切なことなのかもしれない。(取材・文:志和浩司 写真:ヨシダヤスシ)
磯山は22日20時からデビュー20周年記念オンラインイベント「磯山さやかデビュー20周年感謝祭~オンラインで乾杯!~」を開催する。