宇宙から飛来する素粒子ニュートリノを観測し、ニュートリノ天文学を開拓した業績で2002年のノーベル物理学賞を受賞した東京大特別栄誉教授の小柴昌俊(こしば・まさとし)氏が12日、死去した。94歳。愛知県生まれ。東京大が明らかにした。
旧制第一高校から東大物理学科、同大学院を経て米ロチェスター大大学院に留学し、博士号を取得。東大原子核研究所助教授などを経て1970~87年、東大教授を務めた。
岐阜県飛騨市神岡町の鉱山跡の地下千メートルに、水3000トンをたたえた観測装置「カミオカンデ」を建設。定年退官直前の87年、星が大爆発した「超新星」からのニュートリノを世界で初めて捉えることに成功し、この業績がニュートリノ天文学を開拓したと評価された。
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後継機のスーパーカミオカンデは、ニュートリノが質量を持つことを見つける歴史的な業績を上げるなど、小柴氏が育て上げた日本のニュートリノ研究は、現在も世界の最先端を走っている。
97年文化勲章、00年に国際的な物理学賞のウォルフ賞を受賞。03年にはノーベル賞の賞金など約4000万円を寄付し、平成基礎科学財団を設立。理事長として、理科好きの子どもを育てる活動などに尽力した。