新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、国際医療福祉大病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さん(55)は、メディアで警鐘を鳴らし続ける。
「正しい情報を広めるのは、自分にとっての社会貢献」。根底にあるのは、13年前に他界した父・英一氏から若い頃に聞いた言葉だ。
戦時中、父が海軍兵学校に合格し、地元の村長が国のために働く父を祝福しに駆け付けた。父は人生で一番喜びを感じたといい、「お前も世のためになるようなことをしなさい」と力説。「世のために」は何度も聞かされ、心に刻み込まれた。
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2011年、東日本大震災が発生した際、一石さんは宮城県石巻市で医療支援に当たったが、まだできることがあると感じていた。そして現在のコロナ禍。北海道旭川市など複数の地域で医療が逼迫。自らが働く病院の関連病院でもクラスターが発生した。全職員がPCR検査を受け陰性だったが、感染リスクは大きくのしかかり、現場の負担は増加。地方は重症者に対応できる病床数が限られる。
「こうした状況で高齢者にクラスターが発生すると一気に医療が崩壊する。今はその瀬戸際」。そんな医療現場の負担を少しでも減らすため「学術研究面からウイルスの正しい情報を繰り返し伝え、一人でも多くの人の意識を高めるしかない」と、進んでメディアで情報発信。感染「第3波」にある今、“コロナ疲れ”から気の緩みが指摘されるが「10人中、9人がきちんと対策を守っていても、1人が守らないとウイルスは広がる。これが怖いところ」と強い危機感を表す。
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