コロナ禍にも負けず、舞台に立ち続ける男がいる。歌舞伎界のスター、片岡愛之助(48)だ。東京・歌舞伎座で上演中の「壽 初春大歌舞伎」では、初役をアレンジして熱演している。7日には緊急事態宣言が再発令されるなど世間は暗くなる一方だが、「みなさんにハッピーホルモン、パワーを出してほしい」と前向き。TBS系「半沢直樹」シリーズでお茶の間に元気を届けたラブリンが、その演技で全国に笑顔を咲かせる。(ペン・一色 伸裕)
▲途方にくれた上演中止
新年を迎えた歌舞伎座が割れんばかりの拍手に包まれ、その中心には愛之助の姿があった。
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「(昨年は)2月、3月、そして4月、5月と中止。『このままずっとできないのか…』と思い、ニュースを見て途方にくれました」
2日に「壽 初春大歌舞伎」が開幕してからわずか5日後の7日、2度目の緊急事態宣言が発令。今回は上演中止を避けられたが、新型コロナウイルスの影響で板の上に立てなかった昨年を振り返った看板役者の口から思わず本音が漏れた。
外出自粛期間中は、精神統一のために落款(らっかん)を作製した。石の選定から始め、「一日も早くコロナが収まりますように」と魂を込め、自身の名を時間をかけて彫りあげると、同8月に入り、“待望のとき”を迎えた。
歌舞伎座再開の瞬間は息をのむほど感激した。幕が上がると、舞台を心待ちにしていた観客から大きな拍手が送られた。役者冥利に尽きる臨場感を肌で感じ、「いろいろなご意見もあり不安もありましたが、それも吹っ飛び、涙が出そうになりました」と舞台に立てる喜びをかみしめた。
大阪府出身の愛之助は子役として芸能活動をスタート。1981年に上方歌舞伎の重鎮、片岡秀太郎(79)に才能を見いだされ、片岡一門の部屋子へ転身。93年、秀太郎の養子となった。
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