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第164回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(「文芸」秋季号)に、直木賞は西條奈加さん(56)の「心淋し川」(集英社)に決まった。
東京で記者会見した宇佐見さんは「胸いっぱいで頭が追いついていない。『これだな』という言葉を探すのは苦しいけど、それが当てはまった時はうれしい」。西條さんは「地面をはい、もがいて生きている人々を書きたかった。シリアスで地味な作品が評価され、驚きもある」と語った。
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宇佐見さんは1999年静岡県生まれ、神奈川県育ち、同在住で2019年にデビュー。2作目となる受賞作で、男性アイドルを応援する活動を支えに生きる女性の内心の痛みに迫った。
西條さんは1964年北海道生まれ、東京都在住で2005年デビュー。受賞作は江戸の千駄木で懸命に生きる無名の人々を描いた連作短編集。
賞金は各100万円。贈呈式は2月中旬に東京都内で開く予定。
宇佐見りんさんの話「(受賞が決まり)胸がいっぱい。とてもうれしい。舞い上がる気持ちもあるけれど、振り回されることなく、3作目に集中したい。信じたものを書いていくことが、恩返しになると思う。私にとっては小説が「背骨」。これがあるからやっていけるんだという感覚がずっとあって、これからも、それは変わらない。全力で書いていきたい」
西條奈加さんの話「今回の作品では、地面をはい、もがきながら生きている人々を書きたかった。そういう人たちは遠くにいるわけではなく、すぐ隣にいるという感覚がある。(新型コロナウイルス禍という)大変な状況になって、読者がいて初めて小説は完成するという意識が、以前より強くなった。この場を借りて、読者の皆さまにお礼を言いたいと思います」