昨年3月、電子チケット販売会社「ZAIKO」の試みが、コロナ禍で苦境にあえぐライブ・エンタメ業界を救った。電子チケット制によるイベントのオンライン配信を国内で最初にスタートさせ、話題を呼んだ。その立役者となり、来日13年目を迎える同社副社長の米国人女性、ローレン・ローズ・コーカーさん(34)は「音楽の業界で働いている人が好き」と奮闘を続けている。(取材・構成、丸山汎)
「イベントが全部キャンセルになった昨年2月末、ファンがライブを家で見られるようにしたらどうかと思いついた。コンサートのチケットに動画が埋め込まれているイメージでした」
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ローレンさんは流暢な日本語で、そう話す。2019年1月に設立されたベンチャー企業だが、システムを自社開発してきただけに動きは素早く、アイデア浮上から2週間後には初イベントを配信。照明や臨場感ある撮影、インタビューも流すなど工夫した。
その後はGLAY、乃木坂46などの人気バンドやグループを始め、昨年だけで5000本以上のライブを配信。チケットも100万枚以上を販売した。顧客の大部分は小規模のライブハウスや、活動中止を余儀なくされたインディーズのミュージシャンたち。「大事な人たちが本当に困っている。やりがいを感じています」。売り上げからは20億円以上を主催者や会場に還元した。
苦い失敗もあった。試行錯誤のサービス開始から3カ月後の昨年6月、17本のライブを配信中にアクセスの多さからシステムエラーが起き、30分近く画面は真っ白に。ネット上は『二度と使わない』『海外のわけのわからないひどい会社』などの怒りの声で炎上した。
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