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女優、のん（２７）が自ら脚本・監督・主演する映画「Ｒｉｂｂｏｎ」が製作され、今年中の公開を予定している。コロナ禍に翻弄された美大生の葛藤と再生を描いた本作。のんにとって、ＹｏｕＴｕｂｅ作品「おちをつけなんせ」（２０１９年）に続く２本目の監督作品で、劇場版長編作品でメガホンを取るのは本作が初となる。
誰もが苦しんだ２０２０年。コロナ禍で疲弊した人々の心に光が差す青春ストーリーを届ける。自ら脚本・監督・主演を務めるのんは、「コロナ禍で擦り切れた思いを少しでもすくい上げるような映画になったら…」と心を込めて製作にあたった。
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舞台はコロナの感染拡大が本格化し始めた２０２０年冬。のん演じる美大生のいつかは、１年かけて制作した卒業制作の発表の場を失ってしまう。家で過ごす時間は十分にあるのに、なにもやる気がおきない。表現の場を失ったいつかは、イライラを家族にぶつけて衝突してしまう。だが、旧友との再会や親友と本音をぶつけ合ったことでいつかの心は動きだす。
のん自身、昨年は自ら主催した音楽フェスが開催直前に中止となる憂き目にあっている。「緊急事態宣言による自粛期間を過ごしながら、音楽や映画や舞台などのエンタメや芸術の優先順位が下がっていくのをひしひしと感じていました」とコロナ禍で身に染みた危機感を口にした。
「その中で改めて気付けたことは、自分は見てきたエンタメや音楽やアートによって支えられているということです。どんどんその思いが強くなって、いてもたってもいられず脚本を書き始めました」と製作に至った経緯を説明した。
かつて美大生にあこがれた時期があったため、のんは主人公を美大生に設定。コロナ禍の美大生の状況を調べていくと美大生の卒業制作を取り上げた記事を見つけたという。そこに書かれた「時間をかけて作ったものがゴミのように思えてしまった」という美大生の声にのんは衝撃を受けた。「自分の悔しさにも共鳴して膨れ上がって、この無念をなんとか晴らしたい」と一心不乱に脚本を書き進めた。
本作ではのんの発案で感情表現にリボンアートを採用。“リボン”の特撮チームには「シン・ゴジラ」（１６年）で監督・特技監督の樋口真嗣氏、准監督・特技統括の尾上克郎氏が参加。時には鋭く尖り、時にはしなやかに踊るようなリボンの動きで主人公の感情を描いた。
多くの人生を狂わせ、世界を一変させたコロナ禍。その鬱屈した現状を打開する再生の物語が多くの人に希望を与えるはずだ。
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■応援映像に集結したオールスター監督陣
「Ｒｉｂｂｏｎ」の応援映像として樋口真嗣監督が製作した「映画と生きる 映画に生きる」が１９日から日本映画専門チャンネルで放送され、のん公式ＹｏｕＴｕｂｅほかでも配信される。
樋口監督はのんが監督・主演を務めた「Ｒｉｂｂｏｎ」に特撮で参加。「映画と生きる 映画に生きる」は、スクリーンには映らない映画撮影の過酷ながらも情熱的な現場の裏側と、いかなる状態になろうとも被写体を見つめ続ける監督・のんの様子を描いた３篇の構成になっている。
監督・のんを支えるスタッフ役には、緒方明、尾上克郎、犬童一心、片渕須直、白石和彌、市井昌秀、沖田修一、枝優花といずれも日本を代表する映画監督がズラリ。のんは「どの現場でもいつも緊張するのですが、今回の撮影は現場に行くまで生きた心地がしなかったです。私が監督役で、そうそうたる監督の方々がスタッフ役って、どんなぶっ飛んだ撮影？ といまだに思います」と恐縮しながら撮影に臨んだ。
のんと樋口監督は昨年、映画「８日で死んだ怪獣の１２日の物語」（岩井俊二監督）に参加。コロナと戦ってくれるカプセル怪獣を描いた同作はフルリモートで撮影され、オンライン上映も実施した。収益の一部をミニシアター支援にあてるなどコロナ禍で苦しむ映画界を救う意図が込められた作品だった。
樋口監督は「感染症がなければ作られなかった映画がつくられ、監督の仲間が１人増えました」と新人監督・のんを歓迎する意を込めて、応援映像にオールスター監督陣を集結させた。