「北の国から」で音楽を担当したシンガー・ソングライターのさだまさし(68)は、田中邦衛さんの訃報に「僕は『若大将シリーズ』の頃から邦衛さんのファンだったので、本当に寂しい」とショックを隠さなかった。
「邦衛さんは『さだ君、最高だよ、あの曲』って何度も何度も言ってくださったんです」と当時をなつかしんだ。
1980年12月、札幌市でコンサートを終えたさだは、脚本家の倉本聰さん(86)に「ギターを持って遊びに来い」と富良野に招かれた。完成したばかりでまだ音楽が入っていない「北の国から」の1話と2話のビデオを見せられ、主題歌の作曲を依頼された。
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映像美と邦衛さんらの熱演に魅了され、30分で「北の国から~はるかなる大地より」のメロディーを書き上げた。「その時に純(吉岡秀隆)や蛍(中嶋朋子)がロケから戻ってきて。草太兄ちゃん(岩城滉一)、地井さん(中畑和夫役の地井武男さん)も『おお、できたのか』って。少し遅れて邦衛さんが来て…。あの口調で『最高だよ』って喜んでくれてね」としんみりした。
さだと邦衛さんは思わぬ縁で結ばれていた。79年の映画「関白宣言」で主役を務めたさだの弟、繁理さんを共演の邦衛さんが支えた。2002年の「FNS27時間テレビ」でさだが富良野を訪れて邦衛さんと語り合う予定が、荒天でさだが乗ったヘリが飛ばず…。最後に会ったのは、さだの自伝的小説を映画化した「精霊流し」(03年)の記者会見。「僕の父の役を邦衛さんが演じてくださったんです。大好きだった青大将が、五郎さんがって、ありがたかったです。もう一度、倉本先生と邦衛さんと、富良野でお会いしたかった」と悼んだ。