東京電力福島第1原発で増え続ける処理水の処分に関し、政府は13日、関係閣僚会議を首相官邸で開き、海洋放出の方針を正式決定した。2年後を目途に第1原発敷地内から放出に着手。残留する放射性物質トリチウムは濃度を国の基準の40分の1未満まで薄める。風評被害には東電が賠償対応する。決定を受け全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「到底容認できるものではない」と抗議する声明を発表した。
政府が決定した「処理水の処分に関する基本方針」では、国内実績がありトリチウム濃度の検知が確実だとして海洋放出を選択。実施する東電が今後、放出の計画や設備について原子力規制委員会の審査を受ける。
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東電には「風評影響の発生を最大限回避する責任が生じる」と強調。水産業などに政府が販路拡大や観光客誘致といった支援策を講じても風評被害が生じた際は、東電が賠償するとした。必要な対策の検討に向け新たな関係閣僚会議を設置。週内にも初会合を開く。
第1原発では、溶融核燃料(デブリ)を冷やすための注水や流入する地下水などで今も汚染水が増え続け、多核種除去設備(ALPS)で処理しタンクに保管している。保管中の処理水は3月時点で約125万トン。東電はタンク容量が来年秋以降に満杯になると見込む。国と東電はタンク増設の要否を検討する。