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女優、吉永小百合(76)の主演映画「いのちの停車場」(成島出監督)が21日、公開初日を迎えた。通算122作目のヒューマン医療大作。医師役に初挑戦し、患者の命に寄り添う救命救急医と在宅医の“二役”を演じ分けた。取材では実父が救急搬送された過去や実母が訪問看護を受けていたことを告白。「2人の死を見ているから、田中泯さんのお父さんとのシーンは特別でした」と自らを役に重ね合わせた。(ペン・栗原智恵子、カメラ・尾崎修二)
■21日公開の映画「いのちの停車場」
紫色のブラウスと紺色のロングスカートでさっそうと現れた小百合は、カメラマンと大好きなプロ野球西武の話題に花を咲かせ、部屋の空気を一気に軽やかにした。
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「いのちの停車場」は現役医師でもある南杏子さんの同名小説が原作。救命救急センターで働いていた白石咲和子(小百合)がある事件をきっかけに故郷・金沢のまほろば診療所で在宅医として再出発し、末期の膵臓(すいぞう)がんを患う元高級官僚(柳葉敏郎、60)や小児がんの少女の家族らに寄り添うヒューマン医療大作だ。
常々、「自分が好きな役じゃないとできないんですよね」と話していた小百合は、「咲和子の本当に一本気な性格が好き。野呂君(松坂桃李、32)のために『私が責任取ります』と言っちゃうところなんか、私は今まで一度も言ったことがないから、すごいなぁって。言いたいですけど、いろいろ考えると言えなくなっちゃうわね」と肩をすくめた。
終盤には咲和子の父、達郎(田中泯、76)との安楽死を巡るやりとりがある。「あまりに大きなテーマで眠れないこともありました。どうすれば娘としてお父さんのためになるんだろうかとずっとずっと考え、どういう思いで咲和子はいるんだろうかと何度も何度も問い返して、どう演じていいか迷って、迷って。でも、咲和子もきっとそうだったろうと思って…」
■脳死状態の父に生きてほしかった母
未経験の難シーンにレストランでステーキをのどに詰まらせ、救急搬送された父、芳之さん(1989年死去、享年79)を重ねた。「一緒に食事をしていた母たちは心臓発作だと思って、誰も背中をたたいてあげなかった。脳に血液がいかなくなって、脳死みたいな状況になって。先生から『気管を切開して呼吸を人工的にすればもうちょっと長く生きられる』と言われて、私たちは早く楽にしてあげたいと思ったけど、母は少しでもそばについていたい、生きてほしい、と。3カ月弱集中治療室にいて息を引き取ったんです。私はヨーロッパのCM撮影から帰ってきて、死んだ父に会いました」と延命治療を告白。
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