「さくら」の放送が終わった後、しばらく他の朝ドラを見られませんでした。自分が役者として未熟だったのを分かっていたから、他の方がヒロイン役を格好良くこなしている姿を見て、なんだか恥ずかしいような感じがして…。
決して「さくら」が劣っていると思ったわけではありません。初めて芝居をする女優にしか出せない勢いやフレッシュさはあったと思うし、それはさくらにとって素晴らしい効果になっていたと感じています。年月が経って、今ようやく普通に「皆さんすごいな。培ってきたキャリアがある方がやると、これだけ作品にすごみが出るのか」と、ただただ感心して見られるようになりました。
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■お茶の間の情景を思い浮かべ
「さくら」に出演していた時は、必ず放送開始時間の8時15分から「さくら」を見ようと決めていました。撮影前に自宅で見たり、現場でメークをされながら見たり、ロビーでみんなで見たりしていました。ある時、「この時間帯って、家事をしながらだったり、ご飯を食べながらだったり忙しいから、『ながら見』をしている人が多いだろうな」と気づいたんです。なので、本当に滑舌よく、せりふ一つ一つが伝わるようにと意識を持ちながら演じました。
撮影期間中は正直、息抜きもほとんどしていなかったですね。私はお酒が好きで、たぶん皆さんの想像よりだいぶ飲むんですけど…(笑)。撮影の10カ月くらいは完全に禁酒してました。「ずっとさくらでいたい」という思いが強くて、息抜きをしようと思わなかったんです。撮影のない土日も台本を読んでいたし、今思うと私ってストイックだったんだな~。
■17時間彷徨った打ち上げの後
クランクアップの日に打ち上げをして、みんなで朝の4時くらいまで飲みました。その後、家に帰ってシャワーを浴びて寝たんですけど、身体が“朝ドラモード”になっていて、朝7時には目が覚めちゃいました。身体は疲れているから寝ていたいのに気持ちがチリチリして眠れなくて、居ても立ってもいられず、新宿とかに行って夜まで歩き回ったのを覚えています。カフェにも入らず、17時間くらいずっと歩いていましたね。
放送翌年の2003年には、舞台化もさせていただきました。私にとっては初めてに近い大きなステージでしたが、ドラマの続編ということで、共演の笹野高史さんに特訓を受けたりしながらすごく楽しくできました。(30日付に続く)