最新監督作『楽園』公開!映画監督・瀬々敬久が語る「映画とミステリー」

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最新監督作『楽園』公開!映画監督・瀬々敬久が語る「映画とミステリー」
撮影・蔦野裕【拡大】  『悪人』『怒り』と映像化が続くベストセラー作家・吉田修一の傑作短編集『犯罪小説集』を2部作の超大作『64 ーロクヨンー』を大ヒットさせた名匠・瀬々敬久監督が映画化。自身もミステリーや犯罪小説の大ファンという瀬々が“犯罪の物語を語る”理由とは? 「ミステリー好きなんですよ。〈このミステリーがすごい!〉とかは毎年買っていて、基本的にベスト10に入った作品は、ほぼ読みます(笑)」とミステリーファンを公言する瀬々敬久監督。 「アーナルデュル・インドリダソンの『湿地』とか『緑衣の女』とか、好きですね。どちらかというと海外作品のほうがよく読むかな。『ミスティック・リバー』も映画化前に読んでいましたし。うーん、なんだか暗いものばかり読んでいる気がしますね(笑)。要は、風景が浮かび上がってくるようなミステリーが好きなんです。『湿地』だったら、読んでいるだけで北欧の陰鬱とした湿地の風景が、そこに暮らす人々の人生を象徴するように浮かび上がる。そういうミステリーは頭の中で映像がありありと浮かび上がってくるので読んでいても楽しいです」 そんな瀬々監督の最新作が、ベストセラー作家・吉田修一の短編集『犯罪小説集』のうちの2編『青田Y字路』、『万屋善次郎』を原作とした映画『楽園』(18日公開)。 とある地方都市とその先の集落を舞台に、少女失跡事件の容疑者となった青年、少女の最後の目撃者として傷ついた心を抱えながら成長した少女、集落の人々との些細な齟齬を機に追い込まれる男…3人の運命が絡み合い、たどり着く衝撃の結末とは…。 実際の犯罪事件をモチーフにした原作小説を映画化するにあたり、タイトルを『楽園』とした背景とは。 「実はこの『楽園』というタイトルに、なかなかたどり着かなかったんです。最初は『青田Y字路』の“Y字路”を使おうとしたりね。でも何かピンと来なかった。それは、この物語の犯罪的な側面をタイトルにしようとしていたからなんです。『犯罪小説集』の映画化ですから、普通に考えれば自然とそうなるわけだけど、それがピンとこなかったというのは、僕には、この物語に登場する人々が犯罪者というより、誰もが普通に願うようなことを願った人たち、だと思えたからなんです。綾野剛くんが演じる豪士(たけし)は、外国から移民してきたけれど日本でも居場所を見つけられない青年。杉咲花さんが演じる紡(つむぎ)は親友を助けられなかった心の傷を抱えた女性。佐藤浩市さんが演じる善次郎は自分の思いとは裏腹に孤立していく男。それぞれ、ここではないどこかに行きたいとか、この場所をもっとよくしたいとか、ごく普通のことを願っている人たちだった。それがボタンの掛け違いのように周囲の思惑とすれ違い、犯罪につながってしまう。確かに、当事者となった豪士や善次郎たちには、皮肉なタイトルなのかもしれません。でも、その2つの物語をつなぐ中心に、残された少女・紡を据え、彼女が苦悩から抜け出す姿を物語の帰結にできないか、と思った。これは“とり残された人々”の物語でもあるから」 【続きを読む】
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