水谷八重子プロデュースの朗読芝居「大つごもり」へ、ようこそ/芸能ショナイ業務話

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水谷八重子プロデュースの朗読芝居「大つごもり」へ、ようこそ/芸能ショナイ業務話
水谷八重子プロデュースの朗読芝居「大つごもり」【拡大】  明治の女流作家、樋口一葉の命日である11月23日、東京・台東区の一葉記念館で、劇団新派の座頭、水谷八重子さん(80)の講演が行われた。 新派は一葉と縁が深く、1950(昭和25)年に新橋演舞場で「大つごもり」を初演。2003年からは八重子さん自身がプロデュースし、朗読と芝居で魅せる形にアレンジ。今年も12月7、8日、東京・麻布区民センターで上演される。 原作は、大みそかの資産家の屋敷で起こった物語で、奉公に出た貧困なおみねをとりまく悲哀を描いた短編小説。講演において、新派女形の名人、花柳章太郎(享年70)の思い出について語った八重子さん。1965(昭和40)年1月6日に亡くなる前日まで、みね役を務めあげた人間国宝が、“音”にこだわっていたというエピソードを披露した。 「物語に、井戸が出て参ります。原作の深さが12尋(ひろ=1尋は1・818メートル)なので、約22メートルの設定です。そこに10代のおみねになりきった花柳先生が、ででいらっしゃいます。そこで井戸から水をくむのです」 その言葉だけでも、頭の中にもくもくと情景がわいてくる。そして、こう続けた。 「綱がすべっていく音。とぼん、という底の水におけが着いた音。おけを上へたぐり寄せるために、キュッ、キュッと綱を引く音。新派の音をすべて作ってくれていた新派音調部の辻(亨二)さんというかたに、『あの着水音だと、すぐに底についてしまって、22メートルじゃなくて5メートルぐらいの深さの井戸になっちゃうよ』だとか、『22メートルの井戸だから綱は16回は引かせておくれ。だからキュッ、キュッの音も、16回で頼みますよ』と細部まで注文していましたね」 頭で思い描いた情景に、さらに音が加わり、昭和時代の新派の舞台裏が浮かび上がる。 また、音のリクエストを受けた辻さんとは、舞台音響の草分け的存在で、生きた音を作り続けたスペシャリスト。惜しくも今年3月に91歳で他界した。 【続きを読む】
[紹介元] 「芸能社会」の最新ニュース – SANSPO.COM(サンスポ・コム) 水谷八重子プロデュースの朗読芝居「大つごもり」へ、ようこそ/芸能ショナイ業務話