【朝ドラのころ】須藤理彩(4)“百本ノック”乗り越え自信、キレて1時間“籠城”

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【朝ドラのころ】須藤理彩(4)“百本ノック”乗り越え自信、キレて1時間“籠城”
過酷な撮影を乗り越え、クランクアップで感激のあまり涙を流した須藤=1998年撮影【拡大】  それは「天うらら」の撮影も半ばに入った頃でした。あるシーンで、どう演じても監督が「違う! もう1回!」とOKを出してくれない。 「どこがいけないんですか?」と聞いても「自分で考えろ」の一点張り。「もう知らない!」と叫んだ私はスタジオ脇の小部屋に走ってドアを閉め、“籠城(ろうじょう)”したんです。撮影に使う食器や料理などが置いてある部屋です。 その中で、私は悔しくてずっと泣いていました。メークさんが時々、ドア越しに優しく声をかけてくれても、涙がとめどなく流れて…。1時間ほど“籠城”して、やっと気を取り直して部屋から出た後、もう1度演じてみたら、あっけなく一発でOKでした。 後で知ったのですが、当時の朝ドラヒロインが根性を試される、野球で言う百本ノックのようなものだったんです。演技中にキレたのは、それが最初で最後。あれ以来、何がいけないのか、常に客観的に自分を見るようにしています。 「天うらら」の放送終了後、ある舞台の稽古で、演出の蜷川幸雄さん(故人)から「お前なんか、やめちまえ!」とさんざん罵倒されたこともあります。演技が未熟だったとはいえ、パワハラ禁止の今の時代だったら、訴えた私が確実に勝つでしょうね(笑)。 でも、何を言われても立ち向かって努力した後、蜷川さんは「いいよ、お前。もう自信を持って、客の前に立っていい。俺が許す」とおっしゃってくれました。私に自信を持たせるために、厳しく指導してくれたんでしょう。アスリートと同じで、努力や練習の積み重ねは自分を裏切らないと思いました。 【続きを読む】
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