【関西レジェンド伝】林与一(2)初舞台から軒並みいい役、順風満帆

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【関西レジェンド伝】林与一(2)初舞台から軒並みいい役、順風満帆
15歳で初舞台。役者の道へ進むことを決意した【拡大】  15歳の1957(昭和32)年5月、大阪の歌舞伎座の「お吟さま」で初舞台を踏みました。夜公演の「白浪五人男」ではおじいちゃん(二代目林又一郎)が赤星十三郎の役でしたが、中日から風邪をひいて、千秋楽になると高熱で立てなくなってしまった。 代役を立てることになりましたが、僕が黒衣(くろご)についていてたもんだから、「与一ちゃんがせりふを覚えてるから、出られるだろ」と全部の役者さんがおじいちゃんを説得してくださった。このときの白浪五人男はほかに、日本駄衛門が十三代目片岡仁左衛門さん、弁天小僧が市川寿海さん、忠信利平が実川延二郎(のち三代目実川延若)さん、南郷力丸が八代目坂東三津五郎さんという大看板ぞろいでした。 初舞台で大きな役をやらせていただいたので、それから軒並み、いい役がついたんですね。今の(十五代目)仁左衛門さんなんかは「あんなに下手だったのに、いい役もらいやがって」といまだに言うんですよ。 それからは毎日遊ぶ暇もなく、鳴り物から三味線、唄や踊りの稽古の日々でした。15歳から19歳まで、お芝居のとき以外は稽古場に通うだけ。おじいちゃんからお師匠さんの家に「与一は着きましたか。何時ごろ帰りますか」と電話が入る。寄り道ができないようになっていました。 公演中は黒衣を着せられて、舞台の袖でずっと芝居を見ていました。1カ月の公演が終わると、おじいちゃんに「おまえ、どの役が好きだ」と聞かれ、この役ですと答えると「やってみろ」。自分の好きな役はすべて覚えるようになりました。だから、あの役はこんなことやってた、こんな小道具を持ってた、こんな衣装を着てた、というのが浮かんできますから、今になっては、その生活がよかったんだなと思います。 【続きを読む】
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