長男殺害の元次官、異例の保釈…保証金５００万円

保釈され、東京拘置所を出る熊沢英昭被告（中央）＝２０日午後６時５３分、東京拘置所【拡大】 　東京高裁は２０日、自宅で４４歳の長男を刺殺したとして殺人罪に問われ、一審の裁判員裁判で懲役６年とされた元農林水産事務次官、熊沢英昭被告（７６）の保釈を認める決定をした。被告側は保証金５００万円を現金で納付し、被告は同日夜、東京拘置所から保釈された。　判決（１６日）後の１７日に弁護人が保釈請求。東京地裁は１８日、認めない決定をし、弁護人が高裁へ抗告していた。熊沢被告は２０日午後７時前、スーツ姿でタクシーに乗り、拘置所を後にした。　殺人罪で実刑判決を受けた被告が保釈を認められるのは異例。高裁は熊沢被告が起訴内容を認めていたことや、年齢などを考慮したとみられる。公判で熊沢被告は「罪を償い、息子があの世で穏やかに過ごせるように祈りをささげることが私の務めだ」と述べていた。　熊沢被告の控訴期限は年末年始を挟むため１月６日で、少なくともその間は保釈されたまま。現時点で弁護側、検察側ともに控訴しておらず、控訴しなければ判決が確定して収監される。　刑事訴訟法は、逃亡や証拠隠滅の恐れの程度のほか、健康上、経済上などの事情により裁判所が保釈を許すことができると規定している。