淡路島５人殺害、一審の死刑判決破棄で無期懲役

　兵庫県洲本市（淡路島）で２０１５年３月、男女５人をサバイバルナイフで刺殺したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた平野達彦被告（４５）の控訴審判決で大阪高裁（村山浩昭裁判長）は２７日、死刑とした一審神戸地裁の裁判員裁判判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。　一審の裁判員裁判で弁護側は「精神障害による妄想で善悪の判断ができなかった」として責任能力を争った。１７年３月の一審判決は、被告が長期間の向精神薬服用による精神疾患だったと認定した上で「疾患の殺害行為への影響はほとんどない」と完全責任能力を認め、求刑通り死刑を言い渡し、弁護側が控訴した。　村山裁判長は判決理由で、一審の精神鑑定医について、一審段階では「犯行時、明らかに妄想が活発化した形跡はない」としたのに、二審では妄想の活発化を認めるなど意見が食い違っていることなどを挙げ、「責任能力の判断の点で重大な変更で、信用性に大きな疑問がある」と指摘した。