貨物船遭難の男性救助　牛につかまり一命取り留め

４日、鹿児島県の小宝島沖で救命いかだから助けを求める、貨物船「ガルフ　ライブストック１」乗組員のフィリピン人男性（第１０管区海上保安本部提供）【拡大】

　高波で船から投げ出された後、流された積み荷の牛に必死でつかまり、いかだによじ登って救助を待った－。鹿児島県・奄美大島西の東シナ海でパナマ船籍の貨物船が２日に遭難した事故で、救助されたフィリピン人の甲板員の男性（３０）が、こう説明していることが８日、第１０管区海上保安本部（鹿児島）への取材で分かった。　１０管は台風１０号の影響で中断していた捜索活動を７日再開。乗組員４３人のうち、行方が分からない４０人を捜している。　１０管によると男性は、エンジン１台が不調で停止したと船内放送があり、救命胴衣を着てブリッジに出たところ、高波を受け海中に投げ出されたと話している。　海中に沈んで浮き上がった後、船から流された積み荷の牛が目の前にいたので、必死でつかまって泳いだ。約３分後、近くに流れてきた救命いかだに登り、救助を待っていたという。男性は４日午後に発見され、巡視船に救助された。奄美市内の病院に入院しており、自力で歩け、命に別条はない。　貨物船は「ガルフ　ライブストック１」（１万１９４７トン）で、外国人乗組員４３人が乗り、牛約５８００頭を積んで８月１４日にニュージーランドを出港。９月４日に中国に到着予定だった。２日未明に海上保安庁が遭難信号を受信した。