■舞台で1人5役、作家、ユーチューバー…「仕事に境界線ない」■
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50分にわたり、ユーモアたっぷりに語り尽くした後の写真撮影。カメラの前に立つと、一瞬で俳優の表情に変わった。
ギリシャ悲劇に初挑戦する舞台「オレステスとピュラデス」(12月13日まで、KAAT神奈川芸術劇場)でも、2人の主人公と対峙する5役を1人で演じ分ける。
自身の長女(23)よりも若いオレステス役の鈴木仁(21)やピュラデス役の濱田龍臣(20)との共演に「今の子は器用でびっくり。30代のときなら『20代に負けねえ』と思ったけど、もう同一線上で戦おうと思わないもん」と笑い飛ばす。
映画「めぐみへの誓い」には北朝鮮拉致の工作員役で出演。「作品がきっかけで世界に何かアクションが起きたら。(米大統領の)トランプさんに見てもらって…今はそれどころじゃないね」と悪気なく語る姿は、どこか憎めない。
俳優としての原点は舞台。唐十郎と李麗仙が活動した劇団「状況劇場」の稽古場を兼ねた自宅で育ち、幼い頃から演劇に触れてきた義丹少年は自然と役者の道に進んだ。
1984年にNHKドラマ「安寿子の靴」でデビュー後は、テレビや映画を中心に活躍。俳優として舞台に戻ってきたのは30代になってからだ。
2014年には父親の劇団から“のれん分け”した「新宿梁山泊」に参加。以降毎年、唐が生み出したアングラ演劇を舞台上で体現してきた。
「抵抗があって避けてきたけど、おやじが現役を退いたこともあってスッとできた。ライバルとして意識していたのかな。おやじの劇団にいた根津甚八さん、六平直政さん、佐野史郎さんも青春をかけた舞台だし、その空間を感じられるのが面白い。子供の頃は分からなかったけどね」と充実した表情を見せた。
俳優デビューから36年、「最近、役者じゃなかったら何をやってるのかなと思うことが多いけど、何も浮かばない。趣味のバイクじゃ食べられないしね」と天職だと実感。「俺よりセンスがあったり、天才扱いされていたけど、50歳を過ぎてトーンダウンした俳優もいる。プライドが高いと傷ついちゃうから、ちょっとにぶくないとダメだね、俳優は。残っている人は『鈍感力』ですよ」と力説する。
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