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25日に始まった東京五輪の聖火リレーで、桜の花がほころび始めた福島・広野町を地元出身の西本由美子さん(67)は万感の思いで走った。沿道では県立ふたば未来学園の高校生らが手を振って応援した。
NPO主宰の西本さんは、南端のいわき市から北端の新地町まで件沿岸部を走る国道6号線の全長163キロに桜並木を作る活動を地元の高校生らと続けてきた。当初は広野町に花を植えようと震災前から始めた小さな活動。そこで「桜がいい。日本人の心だから」と強く訴えた女子高生がいた。その声に押されて植樹を始めようとした矢先、女子高生は津波の犠牲となった。
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その遺志は人づてに広まり、今はオーナー制で植えられた約1万3000本の桜が「浜街道」をつなぐ。さらに内陸部の県道などにも広がり、歌手の小田和正(73)が並木の清掃活動に参加したこともあった。
「海外から訪れた人たちに、私たちが今も震災当時の悲しい顔のままだと思われていることを知った」と西本さん。高校生たちの前で元気に走りきり、「私たちが頑張っている姿を世界にも伝えたかった」と声を弾ませた。そして、「彼女も天国で喜んでくれていると思う」と津波で亡くなった女子高生を思った。(丸山汎)